令和7年-問45 記述式 民法
Lv4
問題 更新:2026-01-12 00:03:31
Aの配偶者であるBは、Aから法律行為に関する代理権を授与されていないにもかかわらず、Aが所有する高級腕時計甲につき、自身の海外旅行費用に充てるために、Aの代理人と称してCに売却する旨の売買契約(以下「本件契約」という)を締結した。このような場合におけるCのAに対する本件契約の履行請求の可否につき、判例は、民法110条(権限外の行為の表見代理)の趣旨を類推して相手方保護を図る旨を示した。判例は、Cにおいて、どのような場合に上記の類推適用を認めているかについて、40字程度で記述しなさい。
正解例 本件契約が夫婦の日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当な理由がある場合(45字)
解説
Bは、Aの配偶者であるが、法律行為に関する代理権を授与されていないにもかかわらず、Aが所有する高級腕時計甲につき、Aの代理人と称してCに売却する旨の売買契約を締結した。この場合において、Cは、Aに対して履行請求が認められるかが問題となる。
民法は、「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う」(民法761条本文)と規定しているが、この条文の意義について、判例は「夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定している」としている。
そして、続けて以下のように判示した。
「日常の家事に関する法律行為の具体的な範囲は、個々の夫婦によって異なるが、単に夫婦の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも充分に考慮して判断すべきである。
しかし夫婦の一方が民法761条所定の日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権を基礎として一般的に民法110条所定の表見代理の成立を肯定すべきではなく、その越権行為の相手方である第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護をはかるべきである。」(最判昭和44年12月18日)