令和7年-問43 多肢選択式 行政法
Lv3
問題 更新:2026-01-12 00:00:02
次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
いわゆる在外邦人国民審査権訴訟は、現に国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民(在外国民)が原告となり、在外国民に最高裁判所裁判官国民審査(国民審査)に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が争われた事件である。原告は、被告・国に対し、①主位的に、次回の最高裁判所裁判官国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めるとともに(本件地位確認の訴え)、②予備的に、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが憲法の規定に違反して違法であることの確認(本件違法確認の訴え)を求めた。
これについて、最高裁判所大法廷は、最高裁判所裁判官国民審査法(国民審査法)が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法に違反するとし、とりわけ、本件違法確認の訴えにつき、要旨次のような判示を行った(最大判令和4年5月25日民集76巻4号711頁)。
①本件地位確認の訴えは、[ ア ]に関する確認の訴えと解され、国民審査法4条、8条の解釈に基づいて、次回の国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めているものと解される。しかしながら、国民審査法の規定により在外国民に審査権の行使が認められていると解することはできないから、本件地位確認の訴えに係る請求は理由がなく、[ イ ]である。
②本件違法確認の訴えは、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことが違憲であることを理由として、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であると主張し、その確認を求めるものである。このような訴えは、[ ア ]に関する確認の訴えと解され、当該訴えにおいて[ ウ ]が確定した場合、国会において、裁判所がした違憲である旨の判断が尊重されるものと解されることも踏まえると、結果的に上記の争いを解決するために[ エ ]な手段であると認められ、[ ア ]に関する確認の訴えとして適法である。上記の違憲判断を踏まえ、本件違法確認の訴えに係る請求も認容すべきものである。
- 法令の憲法適合性
- 処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無
- 行政庁の公権力の行使に関する不服
- 公法上の法律関係
- 無効判決
- 上告不受理決定すべきもの
- 原審に差し戻すべきもの
- 簡易迅速
- 法律上の争訟に該当しないもの
- 却下すべきもの
- 棄却すべきもの
- 事情判決
- 裁判を受ける権利
- 公正透明
- 有効適切
- 形成判決
- 最終的
- 取消判決
- 効率的
- 確認判決
- ア
-
- イ
-
- ウ
-
- エ
-
正解
- ア4
- イ11
- ウ20
- エ15
解説
ア:公法上の法律関係、イ:棄却すべきもの、ウ:確認判決、エ:有効適切
空欄に補充した文章は以下のとおり。
いわゆる在外邦人国民審査権訴訟は、現に国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民(在外国民)が原告となり、在外国民に最高裁判所裁判官国民審査(国民審査)に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が争われた事件である。原告は、被告・国に対し、①主位的に、次回の最高裁判所裁判官国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めるとともに(本件地位確認の訴え)、②予備的に、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが憲法の規定に違反して違法であることの確認(本件違法確認の訴え)を求めた。
これについて、最高裁判所大法廷は、最高裁判所裁判官国民審査法(国民審査法)が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法に違反するとし、とりわけ、本件違法確認の訴えにつき、要旨次のような判示を行った(最大判令和4年5月25日民集76巻4号711頁)。
①本件地位確認の訴えは、[ア:公法上の法律関係]に関する確認の訴えと解され、国民審査法4条、8条の解釈に基づいて、次回の国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めているものと解される。しかしながら、国民審査法の規定により在外国民に審査権の行使が認められていると解することはできないから、本件地位確認の訴えに係る請求は理由がなく、[イ:棄却すべきもの]である。
②本件違法確認の訴えは、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことが違憲であることを理由として、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であると主張し、その確認を求めるものである。このような訴えは、[ア:公法上の法律関係]に関する確認の訴えと解され、当該訴えにおいて[ウ:確認判決]が確定した場合、国会において、裁判所がした違憲である旨の判断が尊重されるものと解されることも踏まえると、結果的に上記の争いを解決するために[エ:有効適切]な手段であると認められ、[ア:公法上の法律関係]に関する確認の訴えとして適法である。上記の違憲判断を踏まえ、本件違法確認の訴えに係る請求も認容すべきものである。
本問の原告は、主位的請求と予備的請求を併せて提出しており、その内容は以下のとおりである。
① 主位的請求(地位確認の訴え)
「次回国民審査で投票できる地位にある」との確認請求である。
② 予備的請求(違法確認の訴え)
「国民審査法が在外国民に審査権を与えないのは違憲である」との確認請求である。
これらの訴えはいずれも、行政事件訴訟法4条に規定される当事者訴訟に該当する。
| 行政事件訴訟法4条(当事者訴訟) |
|---|
| この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分もしくは裁決に関する訴訟で、法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの、および公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。 |
① 主位的請求はどのように扱われたか
この請求は、「公法上の法律関係」に関する確認の訴えである。
改正前の国民審査法には在外国民に対する審査権を認める規定が存在しなかった。そのため、原告が主張する「投票できる地位」は法令上認められないものであり、本案で理由なく棄却すべきものとされた。
② 予備的請求はどのように扱われたか
予備的請求もまた、「公法上の法律関係」に関する確認の訴えである。
その内容は、在外国民に審査権を認めていない国民審査法の違憲性を争うものである。
国民審査法の当該規定について違憲判断が確定した場合、国会はその判断を尊重して立法措置を行うことになる。
そうすれば原告の争いは実質的に解決されるため、この確認訴訟には処分性がなくとも、争訟解決手段として有効かつ適切であると判断された。
よって、予備的請求による違法確認の訴えは適法とされた。