令和7年-問40 商法 会社法
Lv4
問題 更新:2026-01-12 01:32:57
株券に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。
ア.株券発行会社における株式の譲渡は、当該株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載し、または記録しなければ、当該株券発行会社その他の第三者にも対抗することができない。
イ.株券発行会社が自己株式の処分により行う株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなくても、その効力を生ずる。
ウ.株券発行会社の株券には、譲渡による当該株券に係る株式の取得について当該株券発行会社の承認を要することを定款で定めたときは、その旨を記載しなければならない。
エ.株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、株券の所持を希望しない旨を申し出ることができ、当該株券は、当該株主が当該株券発行会社に提出したときに、無効となる。
オ.株券発行会社の株式に係る株券を喪失した者は、非訟事件手続法の公示催告における除権決定により、当該株券を無効とすることができる。
- ア・イ
- ア・オ
- イ・ウ
- ウ・エ
- エ・オ
正解 3
解説
正しいものは、イ・ウである。
株券発行会社における株式の譲渡は、当該株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載し、または記録しなければ、当該株券発行会社その他の第三者にも対抗することができない。 ア.誤り
会社法130条1項は「株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載し、または記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。」と株式の譲渡の対抗要件の原則定めている。
しかし同条2項で株券発行会社では、「株式会社その他の第三者」を「株式会社」と読み替え、第三者を除外している。
株券発行会社における株式の譲渡について、株式名簿に記載をしなければ第三者に対抗できないとする本問の記述は誤りである。
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない(会社法128条1項本文)。
株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定され、悪意または重大な過失なく株券の交付をうけた譲受人はその権利を取得する。このため第三者との関係においては、株券の交付が対抗要件となる。
株券発行会社が自己株式の処分により行う株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなくても、その効力を生ずる。 イ.正しい
会社が保有する自己の株式を自己株式といい、原則として株券発行会社の株式の譲渡は、株式に係る株券を交付しなければ効力を生じないが、株券発行会社が自己株式の処分により株式を譲渡する場合、株券を交付しなくてもその譲渡の効力は生じる(会社法128条1項)。
株券発行会社の株券には、譲渡による当該株券に係る株式の取得について当該株券発行会社の承認を要することを定款で定めたときは、その旨を記載しなければならない。 ウ.正しい
株券には、譲渡による当該株券に係る株式の取得について当該株券発行会社の承認を要することを定款で定めたときは、その旨を記載しなければならない(会社法216条1項3号)。
株式の譲渡制限の有無について株券の取得者がその制限を知ることは株式の性質として重要である。
| 会社法216条 |
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株券には、次に掲げる事項およびその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、または記名押印しなければならない。 ①株券発行会社の商号②当該株券に係る株式の数 ③譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要することを定めたときは、その旨 ④種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類およびその内容 |
株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、株券の所持を希望しない旨を申し出ることができ、当該株券は、当該株主が当該株券発行会社に提出したときに、無効となる。 エ.誤り
株券発行会社の株主は、会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができるが(会社法217条1項)、提出された株券が無効となるのは、会社がその申し出を受けた株式に係る株券を発行しない旨を株主名簿に記載し、または記録した時においてである(会社法217条5項)。
したがって、株主が株券発行会社に提出したときではない。
株券発行会社の株式に係る株券を喪失した者は、非訟事件手続法の公示催告における除権決定により、当該株券を無効とすることができる。 オ.誤り
会社法233条で、株券に対しては非訟事件手続法第四編の規定を適用しないと定められているため、株券発行会社の株式に係る株券を喪失した場合、非訟事件手続法の公示催告における除権決定によって当該株券を無効にすることはできない。
株券発行会社の株券が喪失した場合、株券を無効化するための手続きとして、会社法は株券喪失登録の制度を採用している(会社法第三款 株券喪失登録)。
株券を喪失した者は、法務省令で定めるところにより、株券発行会社に対し、当該株券についての株券喪失登録簿記載事項を株券喪失登録簿に記載し、または記録すること(株券喪失登録)を請求することができる(会社法223条)。
そして、株券喪失登録(抹消されたものを除く)がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して1年を経過した日に無効となる(会社法228条)。
株券喪失登録は、紛失した株券について第三者の善意取得を防止するために、紛失した株券を無効にするための手続きである。