令和7年-問38 商法 会社法
Lv4
問題 更新:2026-01-12 01:31:28
取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。
- 株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をした場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
- 取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもできる。
- 取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
- 取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめないで署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。
正解 5
解説
取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。 1.正しい
取締役会は、すべての取締役で組織される機関であり、会社の業務に関する事務を処理する決定、いわゆる業務の執行の決定を取締役会で行うのが原則であるが、重要でないものは取締役に委任することができる。
しかし、取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない(会社法362条4項5号、会社法676条1号)。
これは、業務執行者の自分勝手な振る舞いを防止し、取締役相互のけん制を働かせるためである。
株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をした場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。 2.正しい
株式会社の取締役が、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をしようとする場合(競業取引)は、原則として、事前にその取引につき重要な事実を株主総会に開示し、その承認を受けなければならない(会社法356条1項1号)。
ただし、取締役会設置会社においては、この承認は株主総会ではなく取締役会の決議によって行うこととされている(会社法365条1項)。
そして、この承認を受けたうえで、会社法356条1項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない(会社法365条2項)。
| 会社法356条1項 |
|---|
|
取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもできる。 3.正しい
取締役会は、各取締役が招集する。ただし、取締役会を招集する取締役を定款または取締役会で定めたときは、その取締役が招集する(会社法366条1項)。
なお、この場合、招集権者として定められた取締役以外の取締役は、招集権者に対して取締役会の招集を請求でき、請求から一定期間内に招集通知が発せられない場合は、その請求をした取締役が自ら招集することができる(会社法366条2項、3項)。
取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。 4.正しい
取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない(会社法369条2項)。
会社の財産を取締役に不当に安く譲渡する場合や取締役が他の会社の代表として会社と取引するような利益相反取引を行おうとしている取締役が、その利益相反取引の承認を行う取締役会との関係で特別の利害関係がある場合は議決に加わることができないのである。
取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめないで署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。 5.誤り
「当該決議に賛成したものと推定されるのであり、『みなされる』」としている点が誤り。
取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役および監査役は、これに署名し、または記名押印しなければならない(会社法369条3項)。
取締役会の決議に参加した取締役であって取締役会議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する(会社法369条5項)。