令和7年-問33 民法 債権
Lv4
問題 更新:2026-01-12 01:19:13
消費貸借契約に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
ア.消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。
イ.金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。
ウ.消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。
エ.消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。
オ.消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。
- ア・ウ
- ア・エ
- イ・エ
- イ・オ
- ウ・オ
正解 3
解説
妥当なものは、イ・エである。
消費貸借とは、借主が貸主から借りたものを消費し、同じ種類・品質・数量の物を貸主に返還する内容の契約をいう。
そして、消費貸借は、当事者の合意の他に、目的物の交付等が成立要件となる要物契約と、書面ですることを要件とした要式的諾成契約の2種類がある。
消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。 ア.妥当でない
「書面でする消費貸借契約の貸主は、・・・解除によって損害を受けた借主は、貸主に対して・・・」の「貸主」と「借主」が反対である。
借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間、当該消費貸借契約を解除することができるのは、貸主ではなく、借主である。
そして、解除によって損害の賠償を請求することができるのは、借主ではなく、貸主である。
書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる(民法587条の2第2項)。
金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。 イ.妥当である
金銭その他の代替物を給付する債務があるときに、これを債権者と債務者の合意によって消費貸借契約上の債務にすることを、準消費貸借という(民法588条)。
例えば、売買代金債務や請負報酬債務を消費貸借上の債務としたり、損害賠償債務を消費貸借上の債務とする場合である。
本肢のような既に存在している消費貸借債務の新たな消費貸借上の債務も含まれる(大判大正2年1月24日)。
しかし、利息制限法所定の制限利率を超過する利息部分を目的とする準消費貸借契約の効力について、判例は「旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる」(最判昭和55年1月24日)としている。
消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。 ウ.妥当でない
消費貸借契約は、原則として無利息であり、特約にて利息を請求することが可能である。
貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない(民法589条1項)。
なお、特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる(民法589条2項)。
消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。 エ.妥当である
利息の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類または品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる(民法590条2項)。
消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。 オ.妥当でない
「貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、」は妥当でない。
また「借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。」も妥当でない。
消費貸借契約において、当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができるが(民法591条1項)、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負うわけではなく、催告後相当期間経過後より履行遅滞の責任を負うことになる(大判昭和5年1月29日)。
これは、債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う民法412条3項の例外である。