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令和7年-問31 民法 債権

Lv4

問題 更新:2026-01-12 01:18:00

Aを売主、Zを買主とする売買契約に基づいて発生したAのZに対する売買代金債権(以下「本件債権」という)を、AがBに譲渡し、その旨の債権譲渡通知(以下「本件債権譲渡通知」という)が内容証明郵便によって行われ、Zに到達した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済していた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むことができる。
  2. Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる。
  3. Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達したため、Zが、本件債権につき弁済供託を行った場合、Bは、本件債権全額については供託金の還付を請求することはできない。
  4. 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有している場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。
  5. 本件債権譲渡通知がZに到達した後になって、AZ間の売買契約の履行としてAから引き渡された目的物の品質が契約に適合しておらず、ZのAに対する損害賠償請求権が発生したため、Zは、Aに対して本件債権と当該損害賠償請求権を相殺する旨の意思表示を行った。Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。
  解答&解説

正解 2

解説

本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済していた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むことができる。 1.妥当である

債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる(民法468条1項)。

対抗要件具備時とは、譲渡人が債務者に対して、債権譲渡があったことを通知するか、債務者が債権譲渡があったことを知っている旨を、譲渡人か譲受人に対して承諾するかのいずれかの時をいい、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由とは、弁済による債権の消滅、譲渡対象である債権の不存在・消滅、引き換え給付の抗弁などが該当する。
したがって、債権譲渡通知がZに到着する前に、ZがすでにAに対して債権を弁済していた以上、Bから債権の弁済を請求されても拒むことができる。

Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる。 2.妥当でない

「同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる」は妥当でない。

債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互間の優劣は、確定日付のある通知が債務者に到達した日時または確定日付のある債務者の承諾の日時の先後によって決する(最判昭和49年3月7日、最判昭和58年11月4日)。
しかし、確定日付のある各譲渡通知や差押命令の複数が同時に債務者に到達したり、到達時期の前後が不明であったりしたときは、各譲受人は、債務者に対しそれぞれの譲受債権全額の弁済を請求することができ、譲受人の一人から弁済の請求を受けた債務者は、他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由が存在しない限り、弁済の責を免れることができない(最判昭和55年1月11日)。
したがって、内容証明郵便による債権譲渡通知が同時に到着した以上、Zは弁済を拒むことはできない。

Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達したため、Zが、本件債権につき弁済供託を行った場合、Bは、本件債権全額については供託金の還付を請求することはできない。 3.妥当である

同一の債権について、差押通知と確定日付のある譲渡通知との第三債務者への到達の先後関係が不明であるため第三債務者が債権額に相当する金員を供託した場合、被差押債権額と譲受債権額との合計額が供託金額を超過するときは、差押債権者と債権譲受人は、被差押債権額と譲受債権額に応じて供託金額を案分した額の供託金還付請求権をそれぞれ分割取得する(最判平成5年3月30日)。
したがって、Bは、供託金還付請求権をCと分割取得することになるため、債権全額については供託金の還付を請求することはできない。

本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有している場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。 4.妥当である

債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる(民法469条1項)。
したがって、Zは、相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

本件債権譲渡通知がZに到達した後になって、AZ間の売買契約の履行としてAから引き渡された目的物の品質が契約に適合しておらず、ZのAに対する損害賠償請求権が発生したため、Zは、Aに対して本件債権と当該損害賠償請求権を相殺する旨の意思表示を行った。Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。 5.妥当である

債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権であれば、相殺をもって譲受人に対抗することができる(民法469条2項1号)。

Zは、Aに対する損害賠償請求権は対抗要件具備時より後に取得しているが、当該債権は、本件債権譲渡通知がZに到達する前に締結されたAZ間の売買契約が契約不適合となったことが原因で生じている。
したがって、Zは、相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

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