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  4. 問21

令和7年-問21 行政法 国家賠償法

Lv3

問題 更新:2026-01-12 00:51:08

国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 国または公共団体の損害賠償の責任については、民法の規定が補充的に適用されるとされており、失火責任法* もここにいう民法に含まれるが、消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した事案は、失火責任法にいう「失火」に該当せず、失火責任法の適用はない。
  2. 国または公共団体の公権力の行使にあたる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国または公共団体がこれを賠償した場合において、当該加害公務員は、国または公共団体に対し、各自が負う責任の度合いや資力の有無に応じて分割された求償債務を負う。
  3. 市町村が設置する学校の教諭につき、当該教諭の給与を都道府県が負担する場合において、当該教諭がその職務を行うについて故意または過失によって違法に生徒に損害を与えたときは、当該教諭の給与を負担する都道府県が、国家賠償法に基づく損害賠償の義務を負い、学校の設置主体である当該市町村は、同法に基づく損害賠償責任を負わない。
  4. 公の営造物の設置または管理に瑕疵があることによる国家賠償責任につき、当該営造物の設置または管理にあたる者とその費用の負担者とが異なるときは、その双方が責任を負うことになるが、ここにいう設置費用の負担者には、当該営造物の設置費用につき法律上の負担義務を負う者のほか、この者と同等もしくはこれに近い設置費用を負担し、実質的には事業を共同して執行していると認められる一定範囲の者も含まれる。
  5. 国または公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人(被害者)に被害を生ぜしめた事案においては、それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが国または同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合であったとしても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任が成立するためには、被害者において、当該事案における加害行為とそれを行った者を特定しなければならない。

(注)* 失火ノ責任ニ関スル法律

  解答&解説

正解 4

解説

国または公共団体の損害賠償の責任については、民法の規定が補充的に適用されるとされており、失火責任法* もここにいう民法に含まれるが、消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した事案は、失火責任法にいう「失火」に該当せず、失火責任法の適用はない。 1.妥当でない

判例は、公権力の行使にあたる公務員の失火による国または公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条の民法には失火責任法が含まれ、失火責任法が適用されるとしている。

「国または公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法4条は、同法1条1項の規定が適用される場合においても、民法の規定が補充的に適用されることを明らかにしているが、失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条の特則を規定したものであるから、国家賠償法4条の『民法』に含まれる。
また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国または公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を排除すべき合理的理由もない。
したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国または公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が適用され、当該公務員に重大な過失があることを必要とする」(最判昭和53年7月17日)

国または公共団体の公権力の行使にあたる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国または公共団体がこれを賠償した場合において、当該加害公務員は、国または公共団体に対し、各自が負う責任の度合いや資力の有無に応じて分割された求償債務を負う。 2.妥当でない

「共同して故意によって違法に他人に加えた損害については連帯して求償債務を負うべきであり、各自が負う責任の度合いや資力の有無に応じて分割された求償債務を負う」という点が妥当でない。

「国または公共団体の公権力の行使にあたる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国または公共団体がこれを賠償した場合においては、当該公務員らは、国または公共団体に対し、連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負うものと解すべきである。
当該公務員らは、国または公共団体に対する関係においても一体を成すものというべきであり、当該他人に対して支払われた損害賠償金に係る求償債務につき、当該公務員らのうち一部の者が無資力等により弁済することができないとしても、国または公共団体と当該公務員らとの間では、当該公務員らにおいてその危険を負担すべきものとすることが公平の見地から相当だからである」(最判令和2年7月14日)

市町村が設置する学校の教諭につき、当該教諭の給与を都道府県が負担する場合において、当該教諭がその職務を行うについて故意または過失によって違法に生徒に損害を与えたときは、当該教諭の給与を負担する都道府県が、国家賠償法に基づく損害賠償の義務を負い、学校の設置主体である当該市町村は、同法に基づく損害賠償責任を負わない。 3.妥当でない

市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意または過失によって違法に生徒に損害を与えた場合において、当該教諭の給料その他の給与を負担する都道府県が国家賠償法1条1項、国家賠償法3条1項に従い生徒に対して損害を賠償したときは、当該都道府県は、国家賠償法3条2項に基づき、賠償した損害の全額を当該中学校を設置する市町村に対して求償することができる(最判平成21年10月23日)。
したがって、市町村は損害賠償責任を負う。

国または公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任もしくは監督または公の営造物の設置もしくは管理にあたる者と公務員の俸給、給与その他の費用または公の営造物の設置もしくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任じ(国家賠償法3条1項)、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する(国家賠償法3条2項)。

公の営造物の設置または管理に瑕疵があることによる国家賠償責任につき、当該営造物の設置または管理にあたる者とその費用の負担者とが異なるときは、その双方が責任を負うことになるが、ここにいう設置費用の負担者には、当該営造物の設置費用につき法律上の負担義務を負う者のほか、この者と同等もしくはこれに近い設置費用を負担し、実質的には事業を共同して執行していると認められる一定範囲の者も含まれる。 4.妥当である

「国家賠償法3条1項所定の設置費用の負担者には、当該営造物の設置費用につき法律上負担義務を負う者のほか、この者と同等もしくはこれに近い設置費用を負担し、実質的にはこの者と当該営造物による事業を共同して執行していると認められる者であって、当該営造物の瑕疵による危険を効果的に防止しうる者も含まれる。
したがって、公の営造物の設置者に対してその費用を単に贈与したに過ぎない者は設置費用の負担者に含まれないが、法律の規定上当該営造物の設置をなしうることが認められている国が、自らこれを設置するにかえて、特定の地方公共団体に対しその設置を認めたうえ、営造物の設置費用につき当該地方公共団体の負担額と同等もしくはこれに近い経済的な補助を供与する反面、地方公共団体に対し法律上当該営造物につき危険防止の措置を請求しうる立場にあるときには、国は、設置費用の負担者に含まれる」(最判昭和50年11月28日)

国または公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任もしくは監督または公の営造物の設置もしくは管理にあたる者と公務員の俸給、給与その他の費用または公の営造物の設置もしくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる(国家賠償法3条1項)。

国または公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人(被害者)に被害を生せしめた事案においては、それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが国または同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合であったとしても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任が成立するためには、被害者において、当該事案における加害行為とそれを行った者を特定しなければならない。 5.妥当でない

「加害行為とそれを行った者を特定しなければならない」としている点が妥当でない。

「具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意または過失による違法行為があったのでなければ被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国または公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国または公共団体は、加害行為不特定の故をもって国家賠償法または民法上の損害賠償責任を免れることはできない。」(最判昭和57年4月1日)

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