令和7年-問18 行政法 行政事件訴訟法
Lv4
問題 更新:2026-01-12 00:49:12
処分取消訴訟の出訴期間について定めた下記の規定に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
行政事件訴訟法(行訴法)14条1項「取消訴訟は、処分・・・があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」
なお、本問では「処分・・・があったことを知った日」を「基準日」という。
- 行訴法は、行訴法14条1項のほかに、処分の日から一定期間を経過したときは、取消訴訟を提起することができない旨の定めを置いているが、この定めには「正当な理由があるときは、この限りでない。」とのただし書きは付されていない。
- 個人情報保護条例(当時)に基づく保有個人情報の一部開示決定に対する取消訴訟について、開示文書の内容の詳細や不利益性を認識した時が基準日となることから、基準日は、当該決定の通知書が到達した日ではなく、当該開示文書が到達した日とされる。
- 行訴法14条1項が定める出訴期間の定めは、無効等確認訴訟の他、形式的当事者訴訟にも準用されることが行訴法において規定されている。
- 審査請求をすることができる処分についてそれがなされた場合、当該処分に係る取消訴訟は、当該審査請求をした者については、行訴法14条1項の規定にかかわらず、当該審査請求を行った日が基準日とされる。
- 都市計画法における都市計画事業の認可のように、処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、当該告示があった日が基準日とされる。
正解 5
解説
行訴法は、行訴法14条1項のほかに、処分の日から一定期間を経過したときは、取消訴訟を提起することができない旨の定めを置いているが、この定めには「正当な理由があるときは、この限りでない。」とのただし書きは付されていない。 1.妥当でない
行政事件訴訟法14条には、主観的出訴期間(行政事件訴訟法14条1項)と客観的出訴期間(行政事件訴訟法14条2項)が規定されており、それぞれ正当な理由があるときは、この限りでないとただし書きが付されている。
| 主観的出訴期間(行政事件訴訟法14条1項) |
|---|
| 取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から6ヵ月を過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。 |
| 客観的出訴期間(行政事件訴訟法14条2項) |
|---|
| 取消訴訟は、処分または裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。 |
個人情報保護条例(当時)に基づく保有個人情報の一部開示決定に対する取消訴訟について、開示文書の内容の詳細や不利益性を認識した時が基準日となることから、基準日は、当該決定の通知書が到達した日ではなく、当該開示文書が到達した日とされる。 2.妥当でない
「行政事件訴訟法14条1項本文は、取消訴訟について、処分があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは、提起することができない旨を規定しているところ、開示決定等は、個人情報の記録された公文書の写しの交付等による開示が実施されていないとしても、当該開示決定等に係る通知書が開示請求者に到達した時点で効力を生ずるものと解され、本件処分は、平成24年10月15日に本件通知書が被上告人を代理する弁護士の下に到達した時点で効力が生じていたものであり、上記時点で『処分があった』というべきである。
また、処分がその名宛人に個別に通知される場合には、行政事件訴訟法14条1項本文にいう『処分があったことを知った日』とは、その者が処分のあったことを現実に知った日のことをいい、当該処分の内容の詳細や不利益性等の認識までを要するものではないと解される。
そうすると、被上告人は、本件通知書が同人を代理する弁護士の下に到達した平成24年10月15日をもって本件処分のあったことを現実に知ったものということができる」(最判平成28年3月10日)
ようするに、出訴期間の基準日は、処分の内容の詳細や不利益性等の認識までを要する開示文書が到達した日ではなく、決定の通知書が到達した日、ということである。
行訴法14条1項が定める出訴期間の定めは、無効等確認訴訟の他、形式的当事者訴訟にも準用されることが行訴法において規定されている。 3.妥当でない
無効等確認の訴えは、取消訴訟の出訴期間に関する規定を準用していない。また、独自での規定もないため、無効等確認の訴えは出訴期間の制限をうけない(行政事件訴訟法14条1項、行政事件訴訟法38条1項)。
無効等確認の訴えは、行政行為の無効または不存在を前提に提訴するものであり、無効または不存在な行政行為には、その効力として公定力が生じず、不可争力も生じないため、出訴期間の制限を受けない。
また、当事者訴訟、不作為の違法確認訴訟、民衆訴訟、機関訴訟についても、行政事件訴訟法14条1項の出訴期間の定めは準用されていない。
審査請求をすることができる処分についてそれがなされた場合、当該処分に係る取消訴訟は、当該審査請求をした者については、行訴法14条1項の規定にかかわらず、当該審査請求を行った日が基準日とされる。 4.妥当でない
処分または裁決につき審査請求をすることができる場合または行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があったときは、処分または裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときまたは当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない(行政事件訴訟法14条3項)。
処分取消訴訟の出訴基準日は、審査請求を行った日ではなく、裁決を基礎として算定する。
都市計画法における都市計画事業の認可のように、処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、当該告示があった日が基準日とされる。 5.妥当である
都市計画法における都市計画事業の認可のように、行政処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、「処分があったことを知った日」とは、告示があった日をいう(最判平成14年10月24日)。