令和7年-問11 行政法 行政手続法
Lv3
問題 更新:2026-01-12 00:44:17
行政手続法が定める弁明の機会の付与に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 不利益処分の名宛人となるべき者として弁明の機会の付与の通知を受けた者は、代理人を選任することができる。
- 不利益処分の名宛人となるべき者として弁明の機会の付与の通知を受けた者は、行政庁に対し、弁明を記載した書面(弁明書)を提出する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
- 弁明を記載した書面(弁明書)が提出された後、当該不利益処分に利害関係を有する者が当該弁明書の閲覧を求めた場合、行政庁は、正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
- 弁明を記載した書面(弁明書)の提出を受けた行政庁は、当該弁明についての調書および報告書を作成しなければならない。
- 行政庁は、弁明を記載した書面(弁明書)が提出された後に新たな事情が生じたときは、弁明書を提出した者に対しその再提出を求めなければならない。
正解 1
解説
不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、またはその権利を制限する処分をいう(行政手続法2条4号本文)。
例えば、飲食店営業、建設業許可、宅地建物取引業免許、古物商許可などの取消しや停止、罰金・過料の賦課、特定の資格や地位の剥奪(国籍剥奪など)が挙げられる。
不利益処分は、相手方の権利利益を侵害するものであるから、反論防御の手続的保障の機会が要請される。
そして、行政手続法には、不利益処分の程度に応じて手厚い保障が与えられる聴聞と、聴聞と比較して簡易な手続き保障の弁明の機会の付与が規定されている。
不利益処分の名宛人となるべき者として弁明の機会の付与の通知を受けた者は、代理人を選任することができる。 1.妥当である
弁明の機会の付与では、「不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合において当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うこと」(行政手続法15条3項)と「代理人を選任すること」(行政手続法16条)について、聴聞の規定を準用している(行政手続法31条)。
代理人の選任が簡易な手続き保障の弁明の機会に認められるのは、手続きの当事者が反論防御の行使を十分に行えない場合に、代理人を通じて行使されることが当事者のためになるからである。
不利益処分の名宛人となるべき者として弁明の機会の付与の通知を受けた者は、行政庁に対し、弁明を記載した書面(弁明書)を提出する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。 2.妥当でない
行政手続法31条により弁明の機会の付与において聴聞の規定を準用しているのは「不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合において当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うこと」(行政手続法15条3項)と「代理人を選任すること」(行政手続法16条)だけであり、利害関係人の参加や文書等の閲覧など、聴聞で認められていても弁明の機会の付与では認められていないものが多い。
資料の閲覧が認められていないのは、処分の迅速性・手続きの簡便性の配慮とされているからである。
弁明を記載した書面(弁明書)が提出された後、当該不利益処分に利害関係を有する者が当該弁明書の閲覧を求めた場合、行政庁は、正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。 3.妥当でない
行政手続法31条により弁明の機会の付与において聴聞の規定を準用しているのは「不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合において当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うこと」(行政手続法15条3項)と「代理人を選任すること」(行政手続法16条)だけであり、弁明書の閲覧は認められていない。
弁明を記載した書面(弁明書)の提出を受けた行政庁は、当該弁明についての調書および報告書を作成しなければならない。 4.妥当でない
行政手続法31条により弁明の機会の付与において聴聞の規定を準用しているのは「不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合において当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うこと」(行政手続法15条3項)と「代理人を選任すること」(行政手続法16条)だけであり、調書および報告書の作成をする必要はない。
なお、聴聞に関しては、聴聞調書および報告書について行政手続法24条各項に主宰者の作成義務などが定められている。
行政庁は、弁明を記載した書面(弁明書)が提出された後に新たな事情が生じたときは、弁明書を提出した者に対しその再提出を求めなければならない。 5.妥当でない
行政手続法31条により弁明の機会の付与において聴聞の規定を準用しているのは「不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合において当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うこと」(行政手続法15条3項)と「代理人を選任すること」(行政手続法16条)だけであり、終結後に生じた事情による再開等について求める必要はない。
なお、行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、行政手続法24条3項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる(行政手続法25条)。