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  4. 問4

令和7年-問4 憲法 精神的自由

Lv3

問題 更新:2026-01-12 00:34:46

取材・報道の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。
  2. 報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。
  3. 不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。
  4. 報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。
  5. 報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。
  解答&解説

正解 5

解説

公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。 1.妥当である

公権力によって取材資料の提出が強制されるならば、それが報道前の場合、報道の妨げとなり、報道後の提出ならば、取材先から協力が得られなくなるおそれがあり、今後において取材活動に支障が出るかもしれないとして、裁判所が、取材で得た資料を報道機関に提出させることができるかが争われた事件である。

「取材の自由といっても、もとより何らの制約を受けないものではなく、たとえば公正な裁判の実現というような憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受けることも否定できない。
公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが、証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない」(博多駅テレビフィルム提出命令事件:最大決昭和44年11月26日)

なお、報道の自由は憲法21条の保障のもとにあるとしたのに対し、取材の自由については、憲法21条の精神に照らし、十分に値するものであると位置づけた。
そして、刑事裁判のために、取材活動によって得られた資料の提出命令が認められるかどうかは、審判の対象とされている犯罪の性質、態様、軽重および取材したものの証拠としての価値、ひいては、公正な刑事裁判のための必要性を考慮するとともに、取材したものを証拠として提出させられることによる報道機関の取材の自由が妨げられる程度および報道の自由に及ぼす影響の度合その他諸般の事情を比較衡量して決められるとした。

報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。 2.妥当である

新聞記者が外務省の事務官から、刑罰法令に触れないとはいえ、男女関係を利用して沖縄返還交渉をめぐる日米の密約に関する資料を持ち出させたところ、秘密の漏洩をそそのかしたとして逮捕起訴された事件である。

「取材の手段・方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びる」(外務省機密漏洩事件:最決昭和53年5月31日)

なお、報道機関が秘密を漏洩するようにそそのかしたからといって、直ちに違法性が推定されるものではなく、根気強く執拗に説得ないし要請を続けることが真に報道の目的のもので手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、違法性はなく正当な業務行為であるとしている。

不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。 3.妥当である

名誉棄損が成立する場合はともかく、それ以外の場合には法律の根拠もなく、新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告に対する反論権を認めることはできないとされた事件である。

「新聞記事に取り上げられた者が、記事の掲載によって名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、自己が記事に取り上げられたというだけの理由で、新聞を発行・販売する者に対する反論権の制度(当該記事に対する自己の反論文を無修正・無料で掲載することを求められる制度)が認められた場合、新聞を発行・販売する者が、原記事が正しく、反論文は誤りであると確信していても、反論文の内容が編集方針により掲載すべきでないものでも、その掲載を強制されることになり、また、そのために紙面を割かなければならない等の負担を強いられる。
これらの負担が、批判的記事、ことに公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法の保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存する。
不法行為が成立する場合にその者の保護を図ることとは別の話で、反論権の制度について具体的な成文法がないのに、反論権を認めるに等しい上告人主張のような反論文掲載請求権をたやすく認めることはできない」(サンケイ新聞意見広告事件:最判昭和62年4月24日)

報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。 4.妥当である

法廷でメモを取ることを司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ許可し、一般傍聴人に対して禁止する裁判長の措置は、憲法14条1項に違反しないか争われた事件である。

「事件の内容、傍聴人の状況その他当該法廷の具体的状況によっては、傍聴人がメモを取ることをあらかじめ一般的に禁止し、状況に応じて個別的にこれを許可するという取扱いも、傍聴人がメモを取ることを故なく妨げることとならない限り、裁判長の裁量の範囲内の措置として許容されるものである。
以上の趣旨が法廷警察権の行使にあたって配慮されることがあっても、裁判の報道の重要性に照らせば当然であり、報道の公共性、ひいては報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置ということはできない」(レペタ事件:最大判平成元年3月8日)

報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。 5.妥当でない

民事事件において証人となった報道関係者が取材源に係る証言を拒絶することができるかどうか争われた事件である。

民事訴訟法上の証言拒否が認められる職業の秘密にあたるかどうかについて、判例は「報道関係者の取材源は、一般に、それがみだりに開示されると、報道関係者と取材源となる者との間の信頼関係が損なわれ、将来にわたる自由で円滑な取材活動が妨げられることとなり、報道機関の業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になると解されるので、取材源の秘密は職業の秘密にあたるというべきである」としている。
そして、「報道が公共の利益に関するものであって、その取材の手段、方法が一般の刑罰法令に触れるとか、取材源となった者が取材源の秘密の開示を承諾しているなどの事情がなく、しかも、社会的意義や影響のある重大な民事事件であるため、取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお公正な裁判を実現すべき必要性が高く、そのために証言を得ることが必要不可欠であるといった事情が認められない場合には、取材源の秘密は保護に値すると解すべきであり、証人は、原則として、取材源に係る証言を拒絶することができる」(NHK記者証言拒絶事件:最決平成18年10月3日)とした。

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