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令和7年-問3 憲法 法の下の平等

Lv4

問題 更新:2026-01-12 00:34:00

法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとして、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。
  2. 所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱いを行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。
  3. 女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別による差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。
  4. 子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。
  5. 憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない。
  解答&解説

正解 4

解説

尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとして、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。 1.妥当でない

いわゆる「尊属殺重罰規定違憲判決」であるが、父母・祖父母など自分よりも前の世代に属する尊属の殺害は通常の殺人に比べて一般に高度の社会的道義的非難を受けて当然であるとして処罰に反映させても必ずしも不合理であるとはいえず、社会的身分による差別を行うものとはしていない。
また、尊属殺人罪における重い刑罰は認められるも、内容については合理的な区別かどうか、その立法目的の達成と手段に分けて検討するべきであり、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならないというわけではない。

「尊属の殺害は通常の殺人に比して一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるとして、刑の加重要件とする規定を設けても、かかる差別的取扱いをもってただちに合理的な根拠を欠くものと断ずることはできず、したがってまた、憲法14条1項に違反するということもできない。
しかし加重の程度が極端で立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化できる根拠を見出せないときは、その差別は著しく不合理なものといわなければならず、かかる規定は憲法14条1項に違反して無効である」(最大判昭和48年4月4日)

なお、1995年の刑法改正前の刑法200条は、自己または配偶者の直径尊属を殺したる者は死刑または無期懲役(現在の拘禁刑)に処すと定められていたが、この判決後、削除されている。

所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱いを行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。 2.妥当でない

判例は、立法者の裁量を広く認めるとはしていない。

「租税は、今日では、国家の財政需要を充足するという本来の機能に加え、所得の再分配、資源の適正配分、景気の調整等の諸機能をも有しており、国民の租税負担を定めるについて、財政・経済・社会政策等の国政全般からの総合的な政策判断を必要とするばかりでなく、課税要件等を定めるについて、極めて専門技術的な判断を必要とすることも明らかである。
したがって、租税法の定立については、国家財政、社会経済、国民所得、国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかはなく、裁判所は、基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ない。
そうであるとすれば、租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は、その立法目的が正当なものであり、かつ、当該立法において具体的に採用された区別の態様がその目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り、その合理性を否定することができず、これを憲法14条1項の規定に違反するということはできない。
旧所得税法が必要経費の控除について事業所得者等と給与所得者との間に設けた区別は、合理的なものであり、憲法14条1項の規定に違反するものではない。」(サラリーマン税金訴訟:最大判昭和60年3月27日)。

以上のことから、憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないという理由で、立法者の裁量を広く認めることができるとしているわけではない。

女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別による差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。 3.妥当でない

女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性の判断をする際について、判例は、性別以外による法的取扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならないとはしていない。

「再婚をする際の要件に関し、男女の区別をすることの立法目的に合理的な根拠があり、かつ、その区別の具体的内容が立法目的との関連において合理性があるかどうかという観点から憲法適合性の審査を行うのが相当である。」(最大判平成27年12月16日)

子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。 4.妥当である

かつて民法は、法定相続分について、嫡出でない子は嫡出である子の半分と定めており、これが法の下の平等に反しないかが争われていた。
平成7年の判例において最高裁はこれを合憲としていたが、その後の判例(最大決平成25年9月4日)において違憲の判断を下した。

「法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきている。
遅くとも相続が開始した平成13年7月当時においては、立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。」(最大決平成25年9月4日)

憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない。 5.妥当でない

基本的には立法者の裁量が認められ、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用にあたる場合に司法判断がされることから、立法者がその裁量を踰越(ゆえつ)していないか厳格かつ慎重に審査されなければならないわけではない。

「健康で文化的な最低限度の生活というものは、きわめて抽象的・相対的な概念で、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきであるとともに、この規定を現実の立法として具体化するには、国の財政事情を無視することはできず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とする。
したがって、憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するには適さない事柄である。」(堀木訴訟:最大判昭和57年7月7日)

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