令和6年-問54 基礎知識 情報通信
Lv4
問題 更新:2025-01-10 01:15:11
デジタル環境での情報流通に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
- 生成AIが、利用者からの質問を受けて、誤った情報をあたかも真実であるかのように回答する現象を、アノテーションという。
- 情報が大量に流通する環境の中で、人々が費やせるアテンションや消費時間が希少になり、それらが経済的価値を持つようになることを、アテンションエコノミーという。
- SNSなどを運営する事業者が、違法コンテンツや利用規約違反コンテンツを削除することなどを、コンテンツモデレーションという。
- SNSなどで流通する情報について、第三者がその真偽を検証して結果を公表するなどの活動を、ファクトチェックという。
- SNSなどのアルゴリズムにより、自分の興味のある情報だけに囲まれてしまう状況を、フィルターバブルという。
正解 1
解説
生成AIが、利用者からの質問を受けて、誤った情報をあたかも真実であるかのように回答する現象を、アノテーションという。 1.妥当でない
生体AIが、事実に基づかない回答を生成する現象を、「ハルシネーション」という。
AIが幻覚(ハルシネーション)を見ているかのように、もっともらしい誤った回答を生成することから、このように呼ばれている。
アノテーションとは、「注釈」という意味の英単語で、ITの分野ではデータやプログラムの中に特殊な記法を用いて埋め込まれた付加情報のことをこのように呼ぶことが多い。
情報が大量に流通する環境の中で、人々が費やせるアテンションや消費時間が希少になり、それらが経済的価値を持つようになることを、アテンションエコノミーという。 2.妥当である
インターネット上で膨大な情報が流通する中で、利用者からより多くのアテンションを集めてクリックされるために、プラットフォーム上では過激なタイトルや内容、憶測だけで作成された事実に基づかない記事等が生み出されることがあり、アテンションエコノミーは偽・誤情報の拡散やインターネット上での炎上を助長させる構造を有している(総務省・情報通信白書令和5年版)。
SNSなどを運営する事業者が、違法コンテンツや利用規約違反コンテンツを削除することなどを、コンテンツモデレーションという。 3.妥当である
コンテンツモデレーション(投稿監視)は、インターネット上におけるコミュニティ(SNSなど)やプラットフォーム上(口コミサイトなど)において投稿されるコンテンツを監視・管理し、不適切な内容をモニタリングする取り組みである。
コンテンツモデレーションの主な目的は、不適切なコンテンツの削除や、ユーザー同士の健全なコミュニケーションの確保である。具体的には、暴力的、攻撃的、差別的な言動や、著作権を侵害するコンテンツの排除などが含まれる。
SNSなどで流通する情報について、第三者がその真偽を検証して結果を公表するなどの活動を、ファクトチェックという。 4.妥当である
ファクトチェックは、インターネット上の情報や主張が事実にもとづいているかどうかを確認することを指す。拡散した情報が事実でない場合、デマや虚偽情報によって社会的に悪影響を及ぼすリスクが高まるため、公平性が必要な政治や選挙、健康に関する情報、そのほか日常生活に直結する議論などは、特にファクトチェックが重要である。
SNSなどのアルゴリズムにより、自分の興味のある情報だけに囲まれてしまう状況を、フィルターバブルという。 5.妥当である
アルゴリズム機能で配信された情報を受け取り続けることにより、自身の興味のある情報だけにしか触れなくなり、あたかも情報の膜につつまれたかのような「フィルターバブル」と呼ばれる状態となる。自身と似た考え・意見が多く集まり、反対のものは排除(フィルタリング)されるため、その存在そのものに気付きにくくなる。
また、SNS等で、自分と似た興味関心を持つユーザーが集まる場でコミュニケーションする結果、自分が発信した意見に似た意見が返ってきて、特定の意見や思想が増幅していく状態を「エコーチェンバー」という。何度も同じような意見を聞くことで、それが正しく、間違いのないものであると、より強く信じ込んでしまう傾向にある。
フィルターバブルやエコーチェンバーによるインターネット上の意見・思想の偏りが社会の分断を誘引し、民主主義を危険にさらす可能性もありうる(総務省・情報通信白書令和5年版)。