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令和6年-問43 多肢選択式 行政法

Lv4

問題 更新:2025-01-10 02:09:16

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

参議院の総議員の1/4以上である72名の議員は、平成29年6月22日、憲法53条後段の規定により、内閣に対し、国会の臨時会の召集を決定すること(以下「臨時会召集決定」という)を要求した。内閣は、同年9月22日、臨時会を同月28日に召集することを決定した。同日、第194回国会が召集されたが、その冒頭で衆議院が解散され、参議院は同時に閉会となった。本件は、上記の要求をした参議院議員の一人である上告人(原告)が、被上告人(国)に対し、主位的に、上告人が次に参議院の総議員の1/4以上の議員の一人として臨時会召集決定の要求(以下「臨時会召集要求」という)をした場合に、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うことの確認を、予備的に、上記場合に、上告人が20日以内に臨時会の召集を受けられる地位を有することの確認を求める(以下、これらの請求に係る訴えを「本件各確認の訴え」という)事案である。

本件各確認の訴えは、上告人が、個々の国会議員が臨時会召集要求に係る権利を有するという憲法53条後段の解釈を前提に、[ ア ]に関する確認の訴えとして、上告人を含む参議院議員が同条後段の規定により上記権利を行使した場合に被上告人が上告人に対して負う法的義務または上告人が被上告人との間で有する法律上の地位の確認を求める訴えであると解されるから、当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決することができるものであるということができる。そうすると、本件各確認の訴えは、[ イ ]にあたるというべきであり、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。

もっとも、本件各確認の訴えは、将来、上告人を含む参議院議員が憲法53条後段の規定により臨時会召集要求をした場合における臨時会召集決定の遅滞によって上告人自身に生ずる不利益を防止することを目的とする訴えであると解されるところ、将来、上告人を含む参議院の総議員の1/4以上により臨時会召集要求がされるか否かや、それがされた場合に臨時会召集決定がいつされるかは現時点では明らかでないといわざるを得ない。

そうすると、上告人に上記不利益が生ずる[ ウ ]があるとはいえず、本件各確認の訴えは、[ エ ]を欠き、不適法であるというべきであるから、これを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができる。

(最三小判令和5年9月12日民集77巻6号1515頁<文章を一部修正した>)

  1. 法律上保護された利益
  2. 予見可能性
  3. 確認の利益
  4. 統治行為
  5. 合理的な理由
  6. 公権力の行使に関する不服の訴訟
  7. 法律上の争訟
  8. 国権の発動
  9. 処分たる性格
  10. 相当の蓋然性
  11. 制度上の障害
  12. 国会議員の資格
  13. 現実の危険
  14. 確認の対象
  15. 被告適格
  16. 公法上の法律関係
  17. 機関相互間における権限の存否またはその行使
  18. 当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟
  19. 自己の法律上の利益にかかわる資格で提起する訴訟
  20. 国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟
  解答&解説

正解

16
7
13
3

解説

ア:公法上の法律関係、イ:法律上の争訟、ウ:現実の危険、エ:確認の利益

空欄に補充した文章は以下のとおり。

参議院の総議員の1/4以上である72名の議員は、平成29年6月22日、憲法53条後段の規定により、内閣に対し、国会の臨時会の召集を決定すること(以下「臨時会召集決定」という)を要求した。内閣は、同年9月22日、臨時会を同月28日に召集することを決定した。同日、第194回国会が召集されたが、その冒頭で衆議院が解散され、参議院は同時に閉会となった。本件は、上記の要求をした参議院議員の一人である上告人(原告)が、被上告人(国)に対し、主位的に、上告人が次に参議院の総議員の1/4以上の議員の一人として臨時会召集決定の要求(以下「臨時会召集要求」という)をした場合に、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うことの確認を、予備的に、上記場合に、上告人が20日以内に臨時会の召集を受けられる地位を有することの確認を求める(以下、これらの請求に係る訴えを「本件各確認の訴え」という)事案である。

本件各確認の訴えは、上告人が、個々の国会議員が臨時会召集要求に係る権利を有するという憲法53条後段の解釈を前提に、[ア:公法上の法律関係]に関する確認の訴えとして、上告人を含む参議院議員が同条後段の規定により上記権利を行使した場合に被上告人が上告人に対して負う法的義務または上告人が被上告人との間で有する法律上の地位の確認を求める訴えであると解されるから、当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決することができるものであるということができる。そうすると、本件各確認の訴えは、[イ:法律上の争訟]にあたるというべきであり、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。

もっとも、本件各確認の訴えは、将来、上告人を含む参議院議員が憲法53条後段の規定により臨時会召集要求をした場合における臨時会召集決定の遅滞によって上告人自身に生ずる不利益を防止することを目的とする訴えであると解されるところ、将来、上告人を含む参議院の総議員の1/4以上により臨時会召集要求がされるか否かや、それがされた場合に臨時会召集決定がいつされるかは現時点では明らかでないといわざるを得ない。

そうすると、上告人に上記不利益が生ずる[ウ:現実の危険]があるとはいえず、本件各確認の訴えは、[エ:確認の利益]を欠き、不適法であるというべきであるから、これを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができる。

憲法53条
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の1/4以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

憲法53条では召集の具体的な期限およびその会期は明文で定められていないが、当時の安倍内閣では臨時国会の召集の要件を満たしてから3ヵ月以上経過した後に召集を決定した。
この第194回国会は平成29年9月28日に召集され同日28日に衆議院が解散、参議院も同時に閉会となった(憲法54条2項)。

本問題は、3ヵ月以上も召集を行わず、召集をして即日解散とされたことに対して、憲法上の義務違反があったのではないかという提訴である。
国会議員が臨時国会の召集を要求した場合の内閣の法的義務について、確認の訴えを提起することは法律上の地位の確認を求める法律上の争訟にあたるとした(最三小判令和5年9月12日)。

法律上の争訟とは、当事者間の具体的な法律関係ないし権利義務の存否に関する争いであり、かつ、それが法律を適用することにより終局的に解決できるものに限られると解される。

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