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  4. 問42

令和6年-問42 多肢選択式 行政法

Lv4

問題 更新:2025-01-10 01:08:09

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ ア ]といい、これについて定めた代表的な法律として土地収用法が存在する。

土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[ イ ]損失」を補償する旨定めているが、この規定をめぐって、いわゆる輪中堤の文化財的価値が損失補償の対象となるか否かが争われた事案がある。

昭和63年1月21日の最高裁判決は、同条にいう「[ イ ]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ ウ ]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。そして、由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[ エ ]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[ エ ]がその物件の補償されるべき相当な価格となるが、他方で、貝塚、古戦場、関跡などにみられるような、主としてそれによって国の歴史を理解し往時の生活・文化等を知り得るという意味での歴史的・学術的な価値は、特段の事情のない限り、当該土地の不動産としての経済的・[ ウ ]価値を何ら高めるものではなく、その[ エ ]の形成に影響を与えることはないから、このような意味での文化財的価値は、それ自体経済的評価になじまないものとして、土地収用法上損失補償の対象とはなり得ないと判示し、輪中堤の文化財的価値に対する損失補償を否定した。

  1. 強制徴収
  2. 特殊利益
  3. 受忍限度内の
  4. 財産的
  5. 適正な
  6. 社会通念
  7. 特別の犠牲
  8. 都市計画
  9. 合理的
  10. 市場価格
  11. 法律により保護された
  12. 絶対的
  13. 公用収用
  14. 所有権
  15. 反射的
  16. 権利利益
  17. 国家補償
  18. 通常受ける
  19. 精神的
  20. 行政上の強制執行
  解答&解説

正解

13
18
4
10

解説

ア:公用収用、イ:通常受ける、ウ:財産的、エ:市場価格

空欄に補充した文章は以下のとおり。

特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ア:公用収用]といい、これについて定めた代表的な法律として土地収用法が存在する。

土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[イ:通常受ける]損失」を補償する旨定めているが、この規定をめぐって、いわゆる輪中堤の文化財的価値が損失補償の対象となるか否かが争われた事案がある。

昭和63年1月21日の最高裁判決は、同条にいう「[イ:通常受ける]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ウ:財産的]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。そして、由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[エ:市場価格]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[エ:市場価格]がその物件の補償されるべき相当な価格となるが、他方で、貝塚、古戦場、関跡などにみられるような、主としてそれによって国の歴史を理解し往時の生活・文化等を知り得るという意味での歴史的・学術的な価値は、特段の事情のない限り、当該土地の不動産としての経済的・[ウ:財産的]価値を何ら高めるものではなく、その[エ:市場価格]の形成に影響を与えることはないから、このような意味での文化財的価値は、それ自体経済的評価になじまないものとして、土地収用法上損失補償の対象とはなり得ないと判示し、輪中堤の文化財的価値に対する損失補償を否定した。

土地収用の際の補償は、収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償をなすべきであるとされ、「完全な補償」でなければならないとされている。そのため土地の権利に対する補償のほか、付随的な損失の補償も定められている。

土地収用法では付随的な損失の範囲を「通常受ける損失」としているが、本問で引用されている判例では「通常受ける損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済約・財産的な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとしている(最判昭和63年1月21日)。

輪中堤(わじゅうてい)とは、ある特定の区域を洪水の氾濫から守るために、その周囲を囲むようにつくられた堤防で、江戸時代につくられたものが多く文化的な価値があるが、判決では不動産としての経済的・財産的価値を高めるものではないとされている。

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