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令和6年-問41 多肢選択式 憲法

Lv4

問題 更新:2025-01-10 01:07:25

次の文章は、婚外子の法定相続分を嫡出である子の1/2と定めていた民法規定(以下「本件規定」という)を違憲とした最高裁判所の決定の一部である。空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

本件規定は、国民生活や身分関係の基本法である民法の一部を構成し、相続という日常的な現象を規律する規定であって、〔問題となった相続が開始した〕平成13年7月から既に約12年もの期間が経過していることからすると、その間に、本件規定の合憲性を前提として、多くの遺産の分割が行われ、更にそれを基に新たな権利関係が形成される事態が広く生じてきていることが容易に推察される。取り分け、本決定の違憲判断は、長期にわたる社会状況の変化に照らし、本件規定がその合理性を失ったことを理由として、その違憲性を当裁判所として初めて明らかにするものである。それにもかかわらず、本決定の違憲判断が、[ ア ]としての[ イ ]という形で既に行われた遺産の分割等の効力にも影響し、いわば解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく[ ウ ]を害することになる。[ ウ ]は法に内在する普遍的な要請であり、当裁判所の違憲判断も、その[ ア ]としての[ イ ]を限定し、[ ウ ]の確保との調和を図ることが求められているといわなければならず、このことは、裁判において本件規定を違憲と判断することの適否という点からも問題となり得るところといえる。

以上の観点からすると、既に関係者間において裁判、合意等により[ エ ]なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが、関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を[ エ ]なものとするのが相当であるといえる。

(最大決平成25年9月4日民集67巻6号1320頁<文章を一部変更した。>)

  1. 公権力
  2. 事実上の拘束性
  3. 影響力の行使
  4. 法的安定性
  5. 衡平
  6. 暫定的
  7. 対話
  8. 先例
  9. 法令審査
  10. 確定的
  11. 具体的
  12. 家族法秩序
  13. 終審裁判所
  14. 既判力
  15. 司法積極主義
  16. 遡及的
  17. 実質的正義
  18. 蓋然的
  19. 公益
  20. 裁量統制
  解答&解説

正解

8
2
4
10

解説

ア:先例、イ:事実上の拘束性、ウ:法的安定性、エ:確定的

空欄に補充した文章は以下のとおり。

本件規定は、国民生活や身分関係の基本法である民法の一部を構成し、相続という日常的な現象を規律する規定であって、〔問題となった相続が開始した〕平成13年7月から既に約12年もの期間が経過していることからすると、その間に、本件規定の合憲性を前提として、多くの遺産の分割が行われ、更にそれを基に新たな権利関係が形成される事態が広く生じてきていることが容易に推察される。取り分け、本決定の違憲判断は、長期にわたる社会状況の変化に照らし、本件規定がその合理性を失ったことを理由として、その違憲性を当裁判所として初めて明らかにするものである。それにもかかわらず、本決定の違憲判断が、[ア:先例]としての[イ:事実上の拘束性]という形で既に行われた遺産の分割等の効力にも影響し、いわば解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく[ウ:法的安定性]を害することになる。[ウ:法的安定性]は法に内在する普遍的な要請であり、当裁判所の違憲判断も、その[ア:先例]としての[イ:事実上の拘束性]を限定し、[ウ:法的安定性]の確保との調和を図ることが求められているといわなければならず、このことは、裁判において本件規定を違憲と判断することの適否という点からも問題となり得るところといえる。

以上の観点からすると、既に関係者間において裁判、合意等により[エ:確定的]なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが、関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を[エ:確定的]なものとするのが相当であるといえる。

従来、民法900条4号ただし書きの規定は、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の1/2としており、この法定相続分の区別が憲法14条1項に反するかが問題となった。

従来の最高裁は、民法が法律婚主義を採用していること等を理由に、一定の区別が生じることを許容し、憲法14条1項に違反しないとしていたが、我が国における家族形態の多様化やこれに伴う国民の意識の変化があり、この民法の規定が合理性を失ったとされ、最高裁(最大決平成25年9月4日)は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたと判断した。

ただし、すでに従前の規定(非嫡出子の相続分を嫡出子の1/2とする規定)を前提としてされた遺産分割の協議を含む合意等においては、平成13年7月から当該判決の日までに相続が開始した場合であっても、遺産分割が確定的なものとなっている場合は、当該違憲を理由に遺産分割協議の無効を主張することはできない。

既に確定的なものを覆すことはせず、あくまで合意に至っていない事案についてのみ新たな規定(非嫡出子の相続分を嫡出子を平等とする)に基づいて法律関係を確定的なものにするのが相当である、としている。

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