令和6年-問39 商法 会社法
Lv4
問題 更新:2025-01-10 01:06:21
株式交換に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 株式交換完全親会社は、株式会社でなければならない。
- 株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の発行済株式の一部のみを取得することとなる株式交換を行うことができる。
- 株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の株主に対し、当該株式交換完全親会社の株式に代わる金銭等を交付することができる。
- 株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできない。
- 株式交換契約新株予約権が付された、株式交換完全子会社の新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることはできない。
正解 3
解説
株式交換完全親会社は、株式会社でなければならない。 1.誤り
合同会社でも可能である。
株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社または合同会社に取得させることをいう(会社法2条31号)。
株式交換完全親会社は、株式会社または合同会社に限る(会社法767条かっこ書き)。
株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の発行済株式の一部のみを取得することとなる株式交換を行うことができる。 2.誤り
株式交換完全子会社の発行済株式の一部のみを取得することとなる株式交換はできない。
株式交換により完全親会社となる株式会社は、株式交換の効力発生日に、株式交換完全子会社の発行済株式の全部を取得する(会社法769条1項)。
株式交換とは発行済み株式の全部を取得させることをいう(会社法2条31号)。肢1解説参照。
株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の株主に対し、当該株式交換完全親会社の株式に代わる金銭等を交付することができる。 3.正しい
株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の株主に対し、当該株式交換完全親会社の株式に代わる金銭等の交付をもって行うことができる(会社法768条1項2号)。
なお、平成29年の会社法改正前は、株式交換の対価として、原則として株式交換完全親会社の株式を用いていた。これを組織再編における「対価の柔軟化」という。
株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできない。 4.誤り
株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
株式交換は、株主が反対しても株主総会で特別決議で可決されれば、強制的に株式が移転するので、反対株主の株式買取請求権を認めるなどの株主保護が必要になる(会社法797条)。
株式交換契約新株予約権が付された、株式交換完全子会社の新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることはできない。 5.誤り
新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることができる。
株式交換では、株式交換完全子会社の株式だけではなく、新株予約権も交換の対象とすることができる。そうしないと新株予約権を行使することで、新たな株主が生まれて完全子会社ではなくなってしまうからである。そのため新株予約権付社債も株式交換完全親会社が承継することとなり、債務者が変わることで新株予約権付社債の社債権者に不利益が生じるおそれがあるために異議を述べることができる(会社法789条1項3号)。