令和6年-問36 商法 商行為
Lv3
問題 更新:2025-01-10 01:04:46
匿名組合における匿名組合員に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。
- 匿名組合員は、匿名組合契約に基づき営業者が負った債務について、当該匿名組合員が匿名組合の当事者であることをその債務に係る債権者が知っていたときには、当該営業者と連帯して弁済する責任を負う。
- 出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。
- 匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、営業者の業務および財産の状況を検査することができる。
- 匿名組合員が破産手続開始の決定を受けた場合、匿名組合契約は終了する。
正解 2
解説
匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。 1.正しい
匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する(商法536条1項)。
匿名組合とは、組合員である出資者が、営業者に財産を拠出し、その営業から生じる利益の分配を受ける契約である(商法535条)。この時に出資した財産は営業者の財産に属する。
投資型クラウドファンディングなどは、匿名組合契約を利用することが多い形態である。
匿名組合員は、匿名組合契約に基づき営業者が負った債務について、当該匿名組合員が匿名組合の当事者であることをその債務に係る債権者が知っていたときには、当該営業者と連帯して弁済する責任を負う。 2.誤り
匿名組合員は、当該営業者と連帯して弁済する責任を負わない。
匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利および義務を有しない(商法536条4項)。
匿名組合員の責任は出資した額の範囲となる有限責任である。
営業者に出資した財産を帰属させたときにその責任を満たしている。
出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。 3.正しい
出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない(商法538条)。
営業によって出資した分を上回る利益がなければ分配できない。
損失のてん補とは、匿名組合員が追加で出資を行わなければならないということではなく、営業によって利益を増加させていくことを意味する。
匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、営業者の業務および財産の状況を検査することができる。 4.正しい
匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、営業者の業務および財産の状況を検査することができる(商法539条)。
匿名組合員は営業に関与することができないが(商法536条3項)、営業状況や財産状況を検査することができる。
匿名組合員が破産手続開始の決定を受けた場合、匿名組合契約は終了する。 5.正しい
匿名組合契約は、営業者または匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたことにより終了する(商法541条3号)。
匿名組合契約の終了事由(商法541条各号) |
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①匿名組合の目的である事業の成功またはその成功の不能 ②営業者の死亡または営業者が後見開始の審判を受けたこと ③営業者または匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたこと |