令和6年-問31 民法 債権
Lv3
問題 更新:2025-01-10 01:02:08
Aは、Bから金銭を借り受け、Cが、Aの同貸金債務を保証した。次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- AがBに対し保証人を立てる義務を負う場合において、BがCを指名したときは、Cが弁済をする資力を有しなくなったときでも、Bは、Aに対し、Cに代えて資力を有する保証人を立てることを請求することはできない。
- AがBに対し保証人を立てる義務を負う場合において、BがCを指名するときは、Cは、行為能力者でなければならない。
- BのAに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予および更新は、Cに対しても、その効力を生ずる。
- Cの保証債務は、Aの債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
- Cは、その保証債務についてのみ、違約金または損害賠償の額を約定することができる。
正解 2
解説
AがBに対し保証人を立てる義務を負う場合において、BがCを指名したときは、Cが弁済をする資力を有しなくなったときでも、Bは、Aに対し、Cに代えて資力を有する保証人を立てることを請求することはできない。 1.正しい
債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、弁済する資力を有する行為能力者でなければならず(民法450条1項)、弁済前に保証人の要件を欠くに至ったときは、債務者に対し要件を具備する保証人に代えるよう請求することができる(民法450条2項)。
しかし、この規定は債権者が保証人を指名した場合には、適用されない(民法450条3項)。
したがって、債権者Bが保証人Cを指名したときは、民法450条1項、2項の適用がないため、保証人としての要件を具備できなくなっても、新たな保証人を請求することができない。
AがBに対し保証人を立てる義務を負う場合において、BがCを指名するときは、Cは、行為能力者でなければならない。 2.誤り
債務者Aが保証人を立てる義務を負う場合は、Cは、行為能力者でなければならないが、債権者Bが保証人Cを指名したときは、民法450条1項、2項の適用がないので、Cは、行為能力者である必要はない。
肢1参照。
債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、弁済する資力を有する行為能力者でなければならず(民法450条1項)、弁済前に保証人の要件を欠くに至ったときは、債務者に対し要件を具備する保証人に代えるよう請求することができる(民法450条2項)。
しかし、この規定は債権者が保証人を指名した場合には、適用されない(民法450条3項)。
BのAに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予および更新は、Cに対しても、その効力を生ずる。 3.正しい
主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予および更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる(民法457条1項)。
なお、保証債務について時効が完成猶予および更新されても、主たる債務者には何ら影響されないことに注意。
Cの保証債務は、Aの債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。 4.正しい
保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する(民法447条1項)。
Cは、その保証債務についてのみ、違約金または損害賠償の額を約定することができる。 5.正しい
保証人は、その保証債務についてのみ、違約金または損害賠償の額を約定することができる(民法447条2項)。