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令和6年-問23 行政法 地方自治法

Lv3

問題 更新:2025-01-10 00:56:54

住民監査請求および住民訴訟に関する次の記述のうち、地方自治法の定めに照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 住民監査請求は、普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の監査委員に対して行う。
  2. 住民訴訟は、あらかじめ、地方自治法に基づく住民監査請求をしていなければ、適法に提起することができない。
  3. 住民訴訟で争うことができる事項は、住民監査請求の対象となるものに限定される。
  4. 住民訴訟において原告住民がすることができる請求は、地方自治法が列挙するものに限定される。
  5. 損害賠償の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関に対して求める住民訴訟において、原告住民の請求を認容する判決が確定した場合は、当該原告住民に対して、当該損害賠償請求に係る賠償金が支払われることになる。
  解答&解説

正解 5

解説

住民監査請求は、普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の監査委員に対して行う。 1.妥当である

普通地方公共団体の住民は、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、もしくは是正し、もしくは当該怠る事実を改め、または当該行為もしくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる(地方自治法242条1項)。

なお、住民監査請求の請求権者は住民であれば、国籍、選挙権、納税の有無を問わず、法律上の行為能力を有する限り、自然人や法人を問わない。また、住民が1人で請求をすることも可能である。

住民訴訟は、あらかじめ、地方自治法に基づく住民監査請求をしていなければ、適法に提起することができない。 2.妥当である

普通地方公共団体の住民は、地方自治法242条1項の規定による請求をした場合において、訴えをもって住民訴訟をすることができる(地方自治法242条の2第1項柱書き)。

住民訴訟は、住民監査請求を行った住民が、その監査結果や監査に基づいてとられた措置に不服がある場合に裁判所に提起できる訴訟である。
住民訴訟は住民監査請求前置(主義)を採り、住民監査請求を経ていることが原則として必要である。

なお、住民監査請求をしたのに、監査または勧告が行われるべき期間内(請求があった日から60日以内)になされない場合は、監査の結果が出る前でも住民訴訟を提起できる(地方自治法242条の2第2項3号)。

住民訴訟で争うことができる事項は、住民監査請求の対象となるものに限定される。 3.妥当である

住民訴訟は、住民監査請求を行った住民が、監査の結果自体に不服、監査の結果不正または違法な行為があったにもかかわらず必要な措置を講じなかった場合など、不満がある場合に訴えを提起するものであるため、住民監査請求の対象にならないものについて提起することはできない。

住民訴訟において原告住民がすることができる請求は、地方自治法が列挙するものに限定される。 4.妥当である

住民訴訟は、以下の4つの類型が法定されている(地方自治法242条の2第1項)。

訴訟の種類 請求の内容 訴訟の相手方
1号訴訟 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求 当該行為の主体たる執行機関または職員
2号訴訟 行政処分たる当該行為の取消しまたは無効確認の請求 当該行政処分を行った行政庁の所属する地方公共団体
3号訴訟 当該執行機関または職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求 当該怠る事実に係る執行機関または職員
4号訴訟 当該職員または当該行為もしくは怠る事実に係る相手方に損害賠償または不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関または職員に対して求める請求 執行機関または職員
1号訴訟
請求の内容 当該執行機関または職員に対する当該行為の全部または一部の差止めの請求
訴訟の相手方 当該行為の主体たる執行機関または職員
2号訴訟
請求の内容 行政処分たる当該行為の取消しまたは無効確認の請求
訴訟の相手方 当該行政処分を行った行政庁の所属する地方公共団体
3号訴訟
請求の内容 当該執行機関または職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
訴訟の相手方 当該怠る事実に係る執行機関または職員
4号訴訟
請求の内容 当該職員または当該行為もしくは怠る事実に係る相手方に損害賠償または不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関または職員に対して求める請求
訴訟の相手方 執行機関または職員

損害賠償の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関に対して求める住民訴訟において、原告住民の請求を認容する判決が確定した場合は、当該原告住民に対して、当該損害賠償請求に係る賠償金が支払わられることになる。 5.妥当でない

判決が確定した場合「当該原告住民に対して、当該損害賠償請求に係る賠償金が支払わられる」わけではない。

損害賠償または不当利得返還の請求(肢4解説の4号訴訟)について判決が確定した場合は、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から60日以内の日を期限として、当該請求に係る損害賠償金または不当利得の返還金の支払を請求しなければならない(地方自治法242条の3第1項)。
そして、判決が確定した日から60日以内に損害賠償金または不当利得による返還金が支払われないときは、地方公共団体は、損害賠償または不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない(地方自治法242条の3第2項)。

したがって、勝訴した場合は、原告住民に対してではなく、当該地方公共団体に対して賠償金の支払いまたは不当利得の返還がされる。

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