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令和6年-問19 行政法 行政事件訴訟法

Lv3

問題 更新:2025-01-10 00:54:36

行政事件訴訟法(以下「行訴法」という)が定める民衆訴訟および機関訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 機関訴訟は、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟であり、そのような紛争の一方の当事者たる機関は、特に個別の法律の定めがなくとも、機関たる資格に基づいて訴えを提起することができる。
  2. 民衆訴訟とは、特に法律が定める場合に国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で何人も提起することができるものをいう。
  3. 機関訴訟で、処分の取消しを求めるものについては、行訴法所定の規定を除き、取消訴訟に関する規定が準用される。
  4. 公職選挙法が定める地方公共団体の議会の議員の選挙の効力に関する訴訟は、地方公共団体の機関たる議会の構成に関する訴訟であるから、機関訴訟の一例である。
  5. 行訴法においては、行政事件訴訟に関し、同法に定めがない事項については、「民事訴訟の例による」との規定がなされているが、当該規定には、民衆訴訟および機関訴訟を除くとする限定が付されている。
  解答&解説

正解 3

解説

民衆訴訟および機関訴訟は、客観訴訟に分類される。
個人の権利利益の保護を目的とせず、行政の客観的な公正確保を求めるもので、法律が特別に認めている場合に限って提起できる訴訟である。

機関訴訟は、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟であり、そのような紛争の一方の当事者たる機関は、特に個別の法律の定めがなくとも、機関たる資格に基づいて訴えを提起することができる。 1.誤り

前半は正しいが、後半が誤り。
紛争の一方の当事者たる機関は、特に個別の法律の定めがなくとも機関たる資格に基づいて訴えを提起することができるわけではない。

機関訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟である(行政事件訴訟法6条)。
法律に定める場合において、法律に定める者に限り提起することができる(行政事件訴訟法42条)。

行政機関同士の争訟は、行政内部で解決を図ることが通常であるが、裁判所による紛争解決が適している場合もあることから、機関訴訟が用意されている。

機関訴訟の例

  • 地方自治法に基づいて市町村の境界に係る都道府県知事の裁定に対して関係市町村が提起する訴え(地方自治法9条8項)
  • 普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与についての紛争において、地方自治法に基づいてする訴え(地方自治法251条の5)
  • 住民の住所認定をめぐる市町村間の争いについての主務大臣または都道府県知事の決定に関する訴訟(住民基本台帳法33条)
など。

民衆訴訟とは、特に法律が定める場合に国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で何人も提起することができるものをいう。 2.誤り

「何人も提起することができるものをいう。」としている点が誤り。
何人もが提起することができるわけではない。

民衆訴訟とは、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう(行政事件訴訟法5条)。
法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる(行政事件訴訟法42条)。

■選挙人たる資格で提起するもの
 公職選挙法における選挙無効訴訟など

■その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの
 地方自治法の住民訴訟など

機関訴訟で、処分の取消しを求めるものについては、行訴法所定の規定を除き、取消訴訟に関する規定が準用される。 3.正しい

民衆訴訟または機関訴訟で、処分または裁決の取消しを求めるものについては、9条および10条1項の規定を除き、取消訴訟に関する規定を準用する(行政事件訴訟法43条)と規定されている。

取消を求めるものについては取消訴訟の規定を、無効の確認を求めるものについては無効等確認の訴訟の規定を、それ以外のものについては当事者訴訟の規定をほとんど準用している。

準用していないものに原告適格の規定(行政事件訴訟法9条、行政事件訴訟法36条)がある。
これは、個人の権利利益の保護を目的とするものではないため、取消訴訟や無効等確認訴訟の原告適格の「法律上の利益」を有することが提起する要件にならないので注意が必要である。

公職選挙法が定める地方公共団体の議会の議員の選挙の効力に関する訴訟は、地方公共団体の機関たる議会の構成に関する訴訟であるから、機関訴訟の一例である。 4.誤り

県議会議員選挙の当選の効力に関し不服がある候補者が提起する訴訟は民衆訴訟の典型例にあたる(公職選挙法206条1項、公職選挙法207条1項)。
選挙人たる資格で提起するものなので、機関訴訟ではなく、民衆訴訟にあたる。

なお、機関訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいう(行政事件訴訟法6条)。
肢1解説参照

行訴法においては、行政事件訴訟に関し、同法に定めがない事項については、「民事訴訟の例による」との規定がなされているが、当該規定には、民衆訴訟および機関訴訟を除くとする限定が付されている。 5.誤り

行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による(行政事件訴訟法7条)と規定されているが、民衆訴訟および機関訴訟を除くとする限定は付されていない。

私法上の法律関係に関する訴訟、すなわち争点訴訟は、私法上の法律関係に関する訴訟において、その前提として、行政庁の処分等の存否またはその効力の有無が争われる「民事訴訟」をいい、単純に民事事件として処理するわけにもいかないので行政事件訴訟法の規定の一部を準用するべきことが規定されている(行政事件訴訟法45条)。

行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為については、民事保全法(平成元年法律第91号)に規定する仮処分をすることができない。

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