令和6年-問18 行政法 行政事件訴訟法
Lv4
問題 更新:2025-01-10 00:54:01
抗告訴訟における判決について説明する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ア.裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもって、処分が違法であることを宣言することができる。
イ.申請を拒否した処分が判決により取り消されたときは、その処分をした行政庁は、速やかに申請を認める処分をしなければならない。
ウ.処分または裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかったため判決に影響を及ぼすべき攻撃または防御の方法を提出することができなかったものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服の申立てをすることができる。
エ.直接型(非申請型)義務付け訴訟において、その訴訟要件がすべて満たされ、かつ当該訴えに係る処分について行政庁がこれをしないことが違法である場合には、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命じる判決をする。
オ.処分を取り消す判決は、その事件について処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束すると規定されているが、この規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟には準用されない。
- ア・ウ
- ア・エ
- イ・エ
- イ・オ
- ウ・オ
正解 4
解説
イ・オが誤っている
裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもって、処分が違法であることを宣言することができる。 ア.正しい
裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもって、処分または裁決が違法であることを宣言することができる(行政事件訴訟法31条2項)。
いわゆる中間違法宣言判決の制度である。これは、終局判決をする前に損害賠償等による和解決着をすることを期待した制度である。
申請を拒否した処分が判決により取り消されたときは、その処分をした行政庁は、速やかに申請を認める処分をしなければならない。 イ.誤り
「速やかに申請を認める処分をしなければならない。」という点が誤り。
申請を却下し若しくは棄却した処分、または審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が、判決により取り消されたときは、その処分または裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分または審査請求に対する裁決をしなければならない(行政事件訴訟法33条2項)。
処分または裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかったため判決に影響を及ぼすべき攻撃または防御の方法を提出することができなかったものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服の申立てをすることができる。 ウ.正しい
処分または裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかったため判決に影響を及ぼすべき攻撃または防御の方法を提出することができなかったものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服の申立てをすることができる(行政事件訴訟法34条1項)。
直接型(非申請型)義務付け訴訟において、その訴訟要件がすべて満たされ、かつ当該訴えに係る処分について行政庁がこれをしないことが違法である場合には、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命じる判決をする。 エ.正しい
義務付けの訴えが1項及び3項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められまたは行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする(行政事件訴訟法37条の2第5項)。
処分を取り消す判決は、その事件について処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束すると規定されているが、この規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟には準用されない。 オ.誤り
「この規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟には準用されない。」は誤り。
処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束し(行政事件訴訟法33条1項)、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する(行政事件訴訟法38条1項)。