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令和6年-問16 行政法 行政不服審査法

Lv3

問題 更新:2025-01-10 00:52:56

行政不服審査法(以下「行審法」という)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という)との違いに関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.行訴法は、処分取消訴訟につき、出訴期間の制限を規定するとともに、「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」という規定(以下「ただし書き」という)を置いているが、行審法は、処分についての審査請求につき、審査請求期間の制限を規定しているものの、行訴法のようなただし書きは置いていない。

イ.行審法は、行政庁が不服申立てをすることができる処分をする場合には、原則として、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすべき行政庁や不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならないと規定しているが、行訴法は、取消訴訟を提起することができる処分をする場合につき、被告とすべき者や出訴期間を教示すべき旨を定めた明文の規定は置いていない。

ウ.行訴法は、判決の拘束力について、「処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。」と定めているのに対し、行審法は、裁決の拘束力について、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」と定めている。

エ.行審法は、行訴法における取消訴訟と同様、審査請求について執行停止の規定を置くとともに、執行停止の申立てまたは決定があった場合、内閣総理大臣は、審査庁に対し、異議を述べることができる旨を定めている。

オ.行訴法は、行政庁がその処分または裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟として「差止めの訴え」を設けているが、行審法は、このような処分の差止めを求める不服申立てについて明文の規定を置いていない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ
  解答&解説

正解 5

解説

ウ・オが妥当である。

行訴法は、処分取消訴訟につき、出訴期間の制限を規定するとともに、「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」という規定(以下「ただし書き」という)を置いているが、行審法は、処分についての審査請求につき、審査請求期間の制限を規定しているものの、行訴法のようなただし書きは置いていない。 ア.妥当でない

前半の行政事件訴訟法については妥当だが、後半の行政不服審査法については妥当でない。
行政不服審査法でも、審査請求期間制限のただし書きを置いている。

行政事件訴訟法において
取消訴訟は、原則として処分または裁決があったことを知った日から6ヵ月以内に提起しなければならず(行政事件訴訟法14条1項)、処分または裁決の日から1年を経過したときも、原則として提起することができないが(行政事件訴訟法14条2項)、どちらの期間においても正当な理由があるときは、除かれる。

行政不服審査法において
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1ヵ月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない(行政不服審査法18条1項)。

行審法は、行政庁が不服申立てをすることができる処分をする場合には、原則として、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすべき行政庁や不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならないと規定しているが、行訴法は、取消訴訟を提起することができる処分をする場合につき、被告とすべき者や出訴期間を教示すべき旨を定めた明文の規定は置いていない。 イ.妥当でない

前半の行政不服審査法については妥当だが、後半の行政事件訴訟法について妥当でない。
行政事件訴訟法でも本肢の規定を置いている。

行政不服審査法において
行政庁は、審査請求もしくは再調査の請求または他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨ならびに不服申立てをすべき行政庁および不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない(行政不服審査法82条1項)。

行政事件訴訟法において
行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分または裁決を書面でする場合には、当該処分または裁決の相手方に対し、教示事項を書面で教示しなければならない(行政事件訴訟法46条本文)。
取消訴訟を提起することができる処分における教示事項としては、「取消訴訟の被告とすべき者」「取消訴訟の出訴期間」「審査請求前置に関する定めがあるときは、その旨」である(行政事件訴訟法46条1項、2項)。
したがって行政事件訴訟法において、取消訴訟を提起することができる処分をする場合につき、被告とすべき者や出訴期間を教示すべき旨を定めた明文の規定を置いている。ただし、当該処分を口頭でする場合は、教示義務はない。

行訴法は、判決の拘束力について、「処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。」と定めているのに対し、行審法は、裁決の拘束力について、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」と定めている。 ウ.妥当である

行政事件訴訟法では、「処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する」としている(行政事件訴訟法33条)。

行政不服審査法では、「裁決は、関係行政庁を拘束する」(行政不服審査法52条)と規定している。

行審法は、行訴法における取消訴訟と同様、審査請求について執行停止の規定を置くとともに、執行停止の申立てまたは決定があった場合、内閣総理大臣は、審査庁に対し、異議を述べることができる旨を定めている。 エ.妥当でない

「執行停止の申立てまたは決定があった場合、内閣総理大臣は、審査庁に対し、異議を述べることができる旨を定めている。」は妥当でない。

行政不服審査法では、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときなどのために執行停止の規定を置いているが(行政不服審査法25条)、行政事件訴訟法のような、執行停止の申立てまたは決定があった場合、内閣総理大臣は、審査庁に対し、異議を述べることができる旨を定めていない。

なお、行政事件訴訟法では、執行停止の申立てがあった場合、内閣総理大臣は、裁判所に対し、執行停止の決定の前後を問わず異議を述べることができ、異議があると裁判所は執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならないと規定している(行政事件訴訟法27条1項、4項)。

行訴法は、行政庁がその処分または裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟として「差止めの訴え」を設けているが、行審法は、このような処分の差止めを求める不服申立てについて明文の規定を置いていない。 オ.妥当である

行政事件訴訟法において
行政庁が一定の処分または裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分または裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟として、差止めの訴えを規定している(行政事件訴訟3条7項)。

行政不服審査法において
処分の差止めを求める不服申立てについて明文の規定を置いていない。

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