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令和6年-問15 行政法 行政不服審査法

Lv3

問題 更新:2025-01-10 00:52:24

行政不服審査法(以下「行審法」という)に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、または金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分については、行審法の規定は適用されない。
  2. 行審法が審査請求の対象とする「行政庁の不作為」には、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていない場合も含まれる。
  3. 地方公共団体の機関がする処分でその根拠となる規定が条例または規則に置かれているものについては、行審法の規定は適用されない。
  4. 地方公共団体またはその機関に対する処分で、当該団体または機関がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、行審法の規定は適用されない。
  5. 行審法は、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める審査請求で、自己の法律上の利益にかかわらない資格でするものについても規定している。
  解答&解説

正解 4

解説

納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、または金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分については、行審法の規定は適用されない。 1.妥当でない

行政不服審査法について、本肢のような規定は存在しない。

なお、行政手続法においては以下の規定がある。
納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、または金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとるすときは、前項の規定(行政手続法13条1項)は、適用されず、聴聞も弁明の機会の付与も不要である(行政手続法13条2項4号)。

行審法が審査請求の対象とする「行政庁の不作為」には、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていない場合も含まれる。 2.妥当でない

「法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていない場合も含まれる。」は妥当でない。

不作為についての審査請求は、行政庁が法令に基づく申請に対して当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず何らの処分をもしない場合にすることができる(行政不服審査法3条)。
「法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていない場合」は含まれない。

なお、申請に対する不作為とは異なるが、何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分または行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁または当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分または行政指導をすることを求めることができる(行政手続法36条の3第1項)と規定している。

地方公共団体の機関がする処分でその根拠となる規定が条例または規則に置かれているものについては、行審法の規定は適用されない。 3.妥当でない

行政不服審査法において、本肢のような規定は存在しない。

行政手続法3条3項では、地方公共団体の機関が条例に基づいてする処分は、適用除外としているが、行政不服審査法ではこの種の適用除外の規定はない。
よって、地方公共団体の機関が条例または規則に基づいてした処分は、概括主義の例外にあたらないため、不服申立てができる。

地方公共団体またはその機関に対する処分で、当該団体または機関がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、行審法の規定は適用されない。 4.妥当である

行政不服審査法7条2項は「国の機関または地方公共団体その他の公共団体もしくはその機関に対する処分で、これらの機関または団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるものおよびその不作為については、この法律の規定は、適用しない」と規定している。

なお、「固有の資格」とは、一般私人が立てないような立場を指し、国の機関または地方公共団体その他の公共団体もしくはその機関だからこそ立ち得る特別の立場を意味する。

行審法は、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める審査請求で、自己の法律上の利益にかかわらない資格でするものについても規定している。 5.妥当でない

行政不服審査法において、本肢のような規定は存在しない。

なお、行政事件訴訟法においては以下の規定がある。
「民衆訴訟」とは、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう(行政事件訴訟法5条)。

行政不服審査法は、「国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定める(行政不服審査法1条)」ものであり、「行政庁の処分に不服がある者は、4条および5条2項の定めるところにより、審査請求をすることができる」(行政不服審査法2条)と規定している。
ここでいう「行政庁の処分に不服がある者」とは、不服申立適格を有する者を意味している。

行政不服審査法では、不服申立適格に関する規定は設けていないが、判例ではその対象を「不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害されまたは必然的に侵害されるおそれのある者(主婦連ジュース訴訟:最判昭和53年3月14日)」としており、当該判例により、行政不服審査法の不服申立適格は、行政事件訴訟法における原告適格と同一であると解されている。

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