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令和6年-問7 憲法 国会

Lv3

問題 更新:2025-01-10 00:45:13

国会議員の地位・特権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 両議院の議員には国庫から相当額の歳費を受ける権利が保障されており、議員全員を対象とした一律の措置としてであっても、議員の任期の途中に歳費の減額を行うことはできない。
  2. 両議院の議員は、国会の会期中は、法律の定める場合を除いては逮捕されることがなく、また所属する議院の同意がなければ訴追されない。
  3. 両議院の議員には、議院で行った演説、討論、表決について免責特権が認められているが、議場外の行為については、議員の職務として行ったものであっても、免責の対象とならない。
  4. 参議院の緊急集会は、衆議院の解散中に開催されるものであるが、その際にも、議員に不逮捕特権や免責特権の保障が及ぶ。
  5. 議院が所属議員に科した懲罰には、議院自律権の趣旨から司法審査は及ばないのが原則であるが、除名に関しては、手続の適正さについて審査が及ぶとするのが最高裁判所の判例である。
  解答&解説

正解 4

解説

両議院の議員には国庫から相当額の歳費を受ける権利が保障されており、議員全員を対象とした一律の措置としてであっても、議員の任期の途中に歳費の減額を行うことはできない。 1.妥当でない

憲法49条は「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」としているだけで、任期の途中に減額されないことまでは保障されていない。

なお、裁判官の報酬については、在任中減額されないことが保障されている(憲法79条6項、憲法80条2項)。

両議院の議員は、国会の会期中は、法律の定める場合を除いては逮捕されることがなく、また所属する議院の同意がなければ訴追されない。 2.妥当でない

「所属する議院の同意がなければ訴追されない」という点が妥当でない。

両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない(憲法50条)。
また、国会法33条において、各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されないとしている。

なお、国務大臣については、在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない(憲法75条)。

訴追とは刑事訴訟法上の公訴の提起を意味する。憲法50条の逮捕と憲法75条の訴追において、訴追に逮捕などの身体的拘束が含まれているのかについては争いがあるが、昭和電工事件において国務大臣が総理大臣の同意なく逮捕された例がある。

憲法75条
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は、害されない。

両議院の議員には、議院で行った演説、討論、表決について免責特権が認められているが、議場外の行為については、議員の職務として行ったものであっても、免責の対象とならない。 3.妥当でない

「議場外の行為については、議員の職務として行ったものであっても、免責の対象とならない」としている点が妥当でない。

両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない(憲法51条)、憲法51条にいう「議院で行った」という意味については、機能的概念とされていて、国会議事堂の外であっても、議会活動の一環として行った職務を指すと解されており、国会議事堂の中で行った行為に限定されない。
正規の手続によって行われる地方公聴会等、本会議のほか委員会や協議会等は、本条の「議院」に含まれる。
一方、国会議事堂内で開かれたとしても、政党の集会、議員連盟等の会合は、本条の「議院」には含まれない。

参議院の緊急集会は、衆議院の解散中に開催されるものであるが、その際にも、議員に不逮捕特権や免責特権の保障が及ぶ。 4.妥当である

衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となるが、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる(憲法54条2項ただし書き)。
そして、参議院の緊急集会の期間中は国会の会期中と同様と考えられるため、議員に不逮捕特権や免責特権の保障が及ぶ(憲法50条)。

議院が所属議員に科した懲罰には、議院自律権の趣旨から司法審査は及ばないのが原則であるが、除名に関しては、手続の適正さについて審査が及ぶとするのが最高裁判所の判例である。 5.妥当でない

「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない」
「その処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、適正な手続に則ってされたか否かによって決すべきであり、その審理も右の点に限られる(共産党袴田事件:最判昭和63年12月20日)。」

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