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令和4年-問19 行政法 行政事件訴訟法

Lv3

問題 更新:2023-01-17 10:08:52

行政事件訴訟法が定める処分無効確認訴訟(以下「無効確認訴訟」という。)に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 無効確認訴訟は、処分が無効であることを主張して提起する訴訟であるから、当該処分に無効原因となる瑕疵が存在しない場合、当該訴えは不適法なものとして却下される。
  2. 無効確認訴訟には、取消訴訟の原告適格を定める規定が準用されておらず、原告適格に関する制約はない。
  3. 無効確認訴訟は、処分の取消訴訟につき審査請求の前置が要件とされている場合においても、審査請求に対する裁決を経ずにこれを提起することができる。
  4. 無効確認訴訟においては、訴訟の対象となる処分は当初から無効であるのが前提であるから、当該処分の執行停止を申し立てることはできない。
  5. 無効確認訴訟は、処分が無効であることを前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができる場合にも、提起することができる。
  解答&解説

正解 3

解説

無効確認訴訟は、処分が無効であることを主張して提起する訴訟であるから、当該処分に無効原因となる瑕疵が存在しない場合、当該訴えは不適法なものとして却下される。 1.妥当でない

無効確認訴訟において、当該処分に無効原因となる瑕疵が存在しない場合は、当該訴えは不適法なものとして、却下ではなく棄却される。

却下と棄却の違いについて、却下は、要件を満たしていない訴えとして退けられ内容まで審理してもらえない。一方、棄却は、内容が審理されたうえで訴えが退けられる。

無効確認訴訟には、取消訴訟の原告適格を定める規定が準用されておらず、原告適格に関する制約はない。 2.妥当でない

無効確認訴訟は、取消訴訟と同様に、訴訟要件として原告適格は必要である。

無効確認訴訟は、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる(行政事件訴訟法36条)。

無効確認訴訟は、処分の取消訴訟につき審査請求の前置が要件とされている場合においても、審査請求に対する裁決を経ずにこれを提起することができる。 3.妥当である

無効確認の訴えでは、取消訴訟の多くの規定を準用しているが、不服申立前置(行政事件訴訟法8条1項ただし書き)については準用されていないため、取消訴訟について個別法で不服申立ての前置が要件とされている処分でも、無効等確認の訴えを提起することができる。

なお、取消訴訟の規定を準用していないもので注意が必要なものとしては「不服申立前置が取られている場合」の他、「第三者効(対世効)」、「事情判決」、「出訴期間」などがある(行政事件訴訟法38条)。

無効確認訴訟においては、訴訟の対象となる処分は当初から無効であるのが前提であるから、当該処分の執行停止を申し立てることはできない。 4.妥当でない

「当該処分の執行停止を申し立てることはできない」としている点が妥当でない。

無効確認の訴えでは、取消訴訟の多くの規定を準用しており、執行停止も準用されている。
取消訴訟における執行不停止の原則に関する規定が準用され、無効等確認の訴えが提起されても、原則として、処分の執行は停止されない(行政事件訴訟法25条、38条3項)。

本来、無効な行政行為に執行力はないが、事実上有効なものとして強制執行する可能性があるため、これに対する権利保護手段として執行停止制度が準用されているわけである。

また、当初から無効である処分、すなわち無効がゆえに客観的には効力を有しない処分であったとしてもその外形が存在する場合、その外形を除去する手続きが無効確認訴訟であり、取消訴訟の執行停止の規定を準用し、当該処分の執行停止を申し立てすることができる。

無効確認訴訟は、処分が無効であることを前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができる場合にも、提起することができる。 5.妥当でない

「目的を達することができる場合にも」という点が妥当でない。

無効確認訴訟は、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる(行政事件訴訟法36条)。

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