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令和4年-問6 憲法 内閣

Lv2

問題 更新:2023-01-17 09:58:24

内閣の権限に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 内閣は、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経て条約を締結するが、やむを得ない事情があれば、事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる。
  2. 内閣は、国会が閉会中で法律の制定が困難な場合には、事後に国会の承認を得ることを条件に、法律にかわる政令を制定することができる。
  3. 参議院の緊急集会は、衆議院の解散により国会が閉会している期間に、参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣によりその召集が決定される。
  4. 内閣総理大臣が欠けたとき、内閣は総辞職をしなければならないが、この場合の内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
  5. 新年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合、内閣は、新年度予算成立までの間、自らの判断で予備費を設け予算を執行することができる。
  解答&解説

正解 4

解説

内閣は、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経て条約を締結するが、やむを得ない事情があれば、事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる。 1.妥当でない

やむを得ない事情があっても、事前または事後の国会の承認がなければ、条約は締結できない。

条約とは国家間の文書による約束を意味し、「内閣が条約を締結するには、事前に時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」(憲法73条3号ただし書き)。

内閣は、国会が閉会中で法律の制定が困難な場合には、事後に国会の承認を得ることを条件に、法律にかわる政令を制定することができる。 2.妥当でない

行政機関の制定する法形式を命令と呼び、内閣が制定する命令を政令という。
内閣は、憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定することができるが(憲法73条6号本文)、政令はあくまで法律の規定を実施するものであり、国会が閉会中で法律の制定が困難だからといって、事後に国会の承認を得ることを条件に立法権を有する国会の権限を超えて法律にかわる政令を制定することはできない。

参議院の緊急集会は、衆議院の解散により国会が閉会している期間に、参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣によりその召集が決定される。 3.妥当でない

衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる(憲法54条2項)。
衆議院が解散されると、参議院は同時に閉会となって、国会の活動は停止する。しかし、衆議院が解散されたのち総選挙を経て特別国会が召集されるまでの間に、国に緊急の必要が生じる場合には、内閣は参議院の緊急集会を求めることができる。

緊急集会は、本来ならば国会の機能に属する事柄を参議院に代行させるものであり、緊急集会でとられた措置は、次の国会で衆議院の同意が得られなければ、その効力を失うことになる。

なお、衆議院または参議院の総議員の1/4以上の要求があった場合に内閣が召集するのは臨時会である。
臨時会は、臨時に必要があるとき、たとえば、緊急を要する災害対策のための補正予算や法律案の審議を求めるときなどに、内閣がその召集を決定する。
臨時会の会期は、そのつど国会が決定し、2回まで延長することができる。

内閣総理大臣が欠けたとき、内閣は総辞職をしなければならないが、この場合の内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。 4.妥当である

内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない(憲法69条)。

内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない(憲法70条)。

前2条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う(憲法71条)。

なお、その職務については、国政が停滞しないよう臨時的に旧内閣に職務の執行を行わせることから、日常的な事務処理を超えて、政治的に重要な活動を行うことはできないと解されている。

新年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合、内閣は、新年度予算成立までの間、自らの判断で予備費を設け予算を執行することができる。 5.妥当でない

予備費は、国会の議決に基づいて内閣の責任で支出することができるのであり、内閣の判断で予備費を設けることはできない。

予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる(憲法87条1項)。
予見し難い予算の不足とは、予算にある費目の金額が不足になった場合(予算超過支出)と予算に新たな費目を追加する必要が生じた場合(予算外支出)があり、国会の議決に基づいて設けなければならない。

なお、暫定予算とは年度開始前までに本予算(当初予算)が成立しなかった場合などに暫定的に編成される予算のことである。

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