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  4. 問37

令和3年-問37 商法 会社法

Lv4

問題 更新:2023-01-27 21:12:58

株式会社の設立に係る責任等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、検査役の調査を経た場合および当該発起人または設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合を除いて、当該株式会社に対して、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
  2. 発起人は、その出資に係る金銭の払込みを仮装し、またはその出資に係る金銭以外の財産の給付を仮装した場合には、株式会社に対し、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払い、または給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部を給付する義務を負う。
  3. 発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
  4. 発起人、設立時取締役または設立時監査役がその職務を行うについて過失があったときは、当該発起人、設立時取締役または設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
  5. 発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社または第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の発起人、設立時取締役または設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
  解答&解説

正解 4

解説

株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、検査役の調査を経た場合および当該発起人または設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合を除いて、当該株式会社に対して、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。 1.正しい

出資された財産等の価額が不足する場合に発起人および設立時取締役の責任は、以下のときは免責される(会社法52条2項1、2号)。
①財産等の価額について検査役の調査を経たとき
②その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明できたとき

ただし現物出資を行った本人は①②の免責が認められない(会社法52条2項)。また総株主の同意がある場合は免責されるので(会社法55条)、本選択肢の正誤判断はかなり難しい。

なお募集による設立の場合には②の免責は認められないことも併せて確認しておきたい(会社法103条1項)。

発起人は、その出資に係る金銭の払込みを仮装し、またはその出資に係る金銭以外の財産の給付を仮装した場合には、株式会社に対し、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払い、または給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部を給付する義務を負う。 2.正しい

金銭の払い込みや財産の給付を仮装したものは、仮装した出資に係る金銭または財産の全額を給付する義務を負い、総株主の同意がなければ免責されない(会社法52条の2第1項、55条)。

この場合において

①払い込み等を仮装した発起人
②発起人が仮装することに関与した発起人又は設立時取締役

①と②の責任は連帯責任となるが、②においてはその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は免責とされる(会社法52条の2第2項)。

発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 3.正しい

発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(会社法53条1項)。

発起人、設立時取締役または設立時監査役がその職務を行うについて過失があったときは、当該発起人、設立時取締役または設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。 4.誤り

本問の責任を追及するには悪意または重過失が要件となり、過失であるだけでは足りないので誤りである。

発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(会社法53条2項)。
またこの責任は総株主の同意があっても免責されない(会社法55条)。

会社法55条(責任の免除)により、総株主の同意があれば免除されるもの
①現物出資財産の著しい不足時の不足額支払義務
②払込を仮装した時の仮装額全額の支払義務
③出資の仮装をした時の仮装額全部の給付義務
④会社の設立に関する任務懈怠時における会社に対する損害賠償

発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社または第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の発起人、設立時取締役または設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。 5.正しい

発起人、設立時取締役又は設立時監査役が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の発起人、設立時取締役又は設立時監査役も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする(会社法54条)。

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