令和7年-問27 民法 総則
Lv3
問題 更新:2026-01-12 02:32:20
行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
- 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消さなければならない。
- 被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、被保佐人が相続の承認または放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければならない。
- 制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
- 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人または補助人に対し、その権限内の行為について、1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
正解 3
解説
補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。 1.正しい
補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる(民法17条3項)。
後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消さなければならない。 2.正しい
後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消さなければならない(民法19条1項)。
被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、被保佐人が相続の承認または放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければならない。 3.誤り
「被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はない」というのは誤り。
被保佐人が相続の承認もしくは放棄または遺産の分割をするには、その保佐人の同意を得なければならない(民法13条1項6号)。
要するに、認知症など精神上の障害によって判断能力が著しく不十分で、保佐の審判を開始される者は、銀行預金の解約や借金、保証、不動産に関する取引のような財産上の重要な行為については、保佐人の同意が必要となる。
制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。 4.正しい
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない(民法21条)。
自分に行為能力があると信じさせるために相手方を騙したときは、制限行為能力者を保護する必要はないため、法律行為の有効を信じた相手方を保護する趣旨である。
この詐術を用いたときについて、判例は以下のように判示している。
「無能力者が能力者であることを誤信させるために、相手方に対し積極的術策を用いた場合だけではなく、無能力者が、ふつうに人を欺くに足りる言動を用いて相手方の誤信を誘起し、または誤信を強めた場合をも包含する。
したがって、無能力者であることを黙秘していた場合でも、それが、無能力者の他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたるが、単に無能力者であることを黙秘していたことだけでは詐術にあたるとはいえない」(最判昭和44年2月13日)
制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人または補助人に対し、その権限内の行為について、1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。 5.正しい
制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人または補助人に対し、その権限内の行為について1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合において、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす(民法20条1項・2項)。
制限行為能力者の相手方は、行為能力制限違反を理由として取り消される不安定な状況を少しでも早く解消するために催告権が認められている。そして、この催告権を行使することで法律関係を確定することができる。
期限内に確答があれば、その確答に従って法律関係が確定し、期限内に確答がなければ追認したとみなされる。