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令和7年-問25 行政法 行政総論

Lv3

問題 更新:2026-01-12 00:54:27

建築に関わる紛争に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 東京都建築安全条例に基づく安全認定を先行処分とする建築確認の取消訴訟において、当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定される。
  2. 建築主事は、建築確認の申請書を受理してから一定期間内に申請者に確認済証を交付しなければならないところ、この期間経過後も交付をしないことが適法とされるのは、当該申請者がそれにつき任意に同意をしているものと明確に認められる場合に限られる。
  3. 建築確認は、建築工事の開始前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合することを公権的に判断する行為にすぎないため、建築確認に対する取消訴訟の係属中に、当該建築確認に係る建築工事が完了した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は消滅する。
  4. 民間の指定確認検査機関が行った建築確認につき、その取消訴訟を提起した原告が、この訴えを、損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立てる場合、変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる。
  5. 一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画について、これを看過した建築主事による建築確認が国家賠償法の適用上違法となる余地はなく、当該建築確認の申請者である建築主による国家賠償請求は認められない。
  解答&解説

正解 3

解説

東京都建築安全条例に基づく安全認定を先行処分とする建築確認の取消訴訟において、当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定される。 1.妥当でない

「重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定される」というのは妥当でない。

東京都建築安全条例4条1項所定の接道要件を満たしていない建築物について、安全認定(建築物の周囲の空地の状況その他土地および周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める処分)が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であると主張することは許される。

安全認定があっても、これを申請者以外の者に通知することは予定されておらず、建築確認があるまでは工事が行われることもないから、周辺住民等これを争おうとする者がその存在を速やかに知ることができるとは限らない(これに対し、建築確認については、工事の施工者は、建築確認があった旨の表示を工事現場にしなければならない)。
そうすると、安全認定について、その適否を争うための手続的保障がこれを争おうとする者に十分に与えられているというのは困難である。

したがって、安全認定が行われた上で建築確認がされている場合、安全認定が取り消されていなくても、建築確認の取消訴訟において、安全認定が違法であるために条例所定の接道義務の違反があると主張することは許される(最判平成21年12月17日)。
当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定されるわけではない。

建築主事は、建築確認の申請書を受理してから一定期間内に申請者に確認済証を交付しなければならないところ、この期間経過後も交付をしないことが適法とされるのは、当該申請者がそれにつき任意に同意をしているものと明確に認められる場合に限られる。 2.妥当でない

「同意をしているものと明確に認められる場合に限られる」というのは妥当でない。

建築主事とは、地方公共団体に所属し、建築物の新築、改築などをするとき、建築主より申請された建築物の確認を行う公務員のことで、建築主は、都道府県や市町村の建築主事または指定確認検査機関に確認申請書を提出し、建築基準法等の基準に適合していることの審査を受けなければならない。

そして、「建築主事としては速やかに確認処分を行う義務があるが、いかなる場合にも例外を許さない絶対的な義務とまではいえず、建築主が確認処分の留保につき任意に同意をしているものと認められる場合のほか、同意のあることが明確でない場合でも、諸般の事情から直ちに確認処分をしないで応答を留保することが法の趣旨目的に照らし社会通念上合理的と認められるときは、違法な遅滞とはならない」(最判昭和60年7月16日)

建築確認は、建築工事の開始前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合することを公権的に判断する行為にすぎないため、建築確認に対する取消訴訟の係属中に、当該建築確認に係る建築工事が完了した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は消滅する。 3.妥当である

建築確認処分の取消しを求める訴えにおいて、訴えの利益は、建築物の建築工事の完了によって失われる。

建築確認とは、工事に着手する前に、建築計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、建築主事や指定確認検査機関の確認を受けなければならない制度である。
判例は「建築確認は、それを受けなければ工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないから、工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる」(最判昭和59年10月26日)としている。

民間の指定確認検査機関が行った建築確認につき、その取消訴訟を提起した原告が、この訴えを、損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立てる場合、変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる。 4.妥当でない

「変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる」というのは妥当でない。

指定確認検査機関とは、建築基準法に基づき、建築確認における確認審査・現場検査等を行う機関として国土交通大臣、地方整備局または都道府県知事から指定された民間企業のことをいい、建築確認を行ったのは民間企業とはいえ、その事務が帰属するのは地方公共団体であるから、被告は地方公共団体となる。

「指定確認検査機関の確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は、指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の『当該処分または裁決に係る事務の帰属する国または公共団体』にあたり、本件確認に係る事務の帰属する公共団体となる」(最判平成17年6月24日)

一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画について、これを看過した建築主事による建築確認が国家賠償法の適用上違法となる余地はなく、当該建築確認の申請者である建築主による国家賠償請求は認められない。 5.妥当でない

一級建築士による偽装が行われたからといって、建築確認を行う建築主事の非がなくなるわけではない。

建築主事による当該計画に係る建築確認について、建築主事が職務上通常払うべき注意をもって申請書類の記載を確認していれば当該計画の建築基準関係規定への不適合を発見することができたにもかかわらずその注意を怠って漫然と不適合を看過した結果当該計画につき建築確認を行ったと認められる場合に、国家賠償法1条1項の適用上違法となる(最判平成25年3月26日)。

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