令和6年-問13 行政法 行政手続法
Lv3
問題 更新:2025-01-10 00:51:01
審査基準と処分基準に関する次の記述のうち、行政手続法に照らし、妥当なものはどれか。
- 審査基準を公にすることによって行政上特別の支障が生じる場合、行政庁が当該審査基準を公にしなかったとしても違法とはならない。
- 処分基準は、不利益処分を行うに際して、その名あて人からの求めに応じ、当該名あて人に対してこれを示せば足りるものとされている。
- 行政庁が審査基準を作成し、それを公にすることは努力義務にすぎないことから、行政庁が審査基準を公にしなかったとしても違法とはならない。
- 審査基準を公にする方法としては、法令により申請の提出先とされている機関の事務所において備え付けることのみが認められており、その他の方法は許容されていない。
- 行政庁が処分基準を定めることは努力義務に過ぎないが、処分基準を定めた場合には、これを公にする法的義務を負う。
正解 1
解説
審査基準を公にすることによって行政上特別の支障が生じる場合、行政庁が当該審査基準を公にしなかったとしても違法とはならない。 1.妥当である
行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない(行政手続法5条3項)。
公にしておかなければならないことの例外として「行政上特別の支障があるときを除き」と規定している。よって、審査基準を公にすることによって行政上特別の支障が生じる場合、当該審査基準を公にしなかったとしても違法とはならない。
処分基準は、不利益処分を行うに際して、その名あて人からの求めに応じ、当該名あて人に対してこれを示せば足りるものとされている。 2.妥当でない
「不利益処分を行うに際して、その名あて人からの求めに応じ、当該名あて人に対してこれを示せば足りる」は規定されていない。したがって妥当でない。
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならず(行政手続法12条1項)、処分基準を定めるにあたっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない(行政手続法12条2項)。
行政庁が審査基準を作成し、それを公にすることは努力義務にすぎないことから、行政庁が審査基準を公にしなかったとしても違法とはならない。 3.妥当でない
審査基準を公にすることは法的義務であり、「公にすることは努力義務にすぎない」は妥当ではない。
行政庁は、審査基準を定めるものとし(行政手続法5条1項)、審査基準を定めるにあたっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならず(行政手続法5条2項)、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない(行政手続法5条3項)。
なお、処分基準の規定と混同しないよう注意。
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。また処分基準を定めるにあたっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない(行政手続法12条1項、2項)。
審査基準を公にする方法としては、法令により申請の提出先とされている機関の事務所において備え付けることのみが認められており、その他の方法は許容されていない。 4.妥当でない
「法令により申請の提出先とされている機関の事務所において備え付けることのみが認められており、その他の方法は許容されていない」は妥当ではない。
行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない(行政手続法5条3項)。
その他の適当な方法としては、行政機関のウェブサイト等へのアップロードが一般的である。
行政庁が処分基準を定めることは努力義務に過ぎないが、処分基準を定めた場合には、これを公にする法的義務を負う。 5.妥当でない
「処分基準を定めた場合には、これを公にする法的義務を負う」は妥当ではない。
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない(行政手続法12条1項)と定めており、処分基準を公にすることは努力義務である。
肢3参照。
なお、設定は努力義務だが、設定したときに公にする義務が生じるのは、申請に対する処分における標準処理期間である。