令和6年-問1 基礎法学 その他
Lv4
問題 更新:2025-01-10 00:41:03
次の文章の空欄[ ア ]~[ オ ]にあてはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
「[ ア ]」と「[ イ ]」とは基本的に共通な発想に立脚する概念であるが、前者が大陸的背景のもとで何よりも[ ウ ]の国政における優位を含意するのに対し、後者は、そのイギリス的伝統に対応して、[ エ ]としての[ オ ]をまず前提しているという点で、必ずしも同一の思想を表わしているとは言い難い。
(出典 碧海純一「新版 法哲学概論〔全訂第2版〕」1989年から<原文の表記を一部改めた。>)
ア | イ | ウ | エ | オ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 法の支配 | 法治国 | 判例法 | 一般意思 | コモン・ロー | |
2. | 法治国 | 法の支配 | 憲法 | 一般意思 | 法律 | |
3. | 法の支配 | 法治国 | 憲法 | 主権者 | 国会 | |
4. | 法治国 | 法の支配 | 議会立法 | 判例法 | コモン・ロー | |
5. | 法の支配 | 法治国 | 議会立法 | 最高法規 | 憲法 |
正解 4
解説
ア:法治国、イ:法の支配、ウ:議会立法、エ:判例法、オ:コモン・ロー
空欄に補充した文章は以下のとおり。
「[ア:法治国]」と「[イ:法の支配]」とは基本的に共通な発想に立脚する概念であるが、前者が大陸的背景のもとで何よりも[ウ:議会立法]の国政における優位を含意するのに対し、後者は、そのイギリス的伝統に対応して、[エ:判例法]としての[オ:コモン・ロー]をまず前提しているという点で、必ずしも同一の思想を表わしているとは言い難い。
ア:法治国、イ:法の支配、ウ:議会立法
法治国(法治国家)とは、「国家は議会が作った法律に従わなくてならない」とする考えを持つ国をいう。
法の支配とは、「国家は人ではなく法によって支配されるべきである」という基本原理である。
「前者(ア)が大陸的背景のもとで」とあり、大陸法はシビル・ロー(市民の代表からなる議会が作った法)に基づく法体系とされるので、アに「法治国」が入る。
また「後者(イ)は、そのイギリス的伝統に対応して」とあり、英米法は「法の支配」を基本的な考え方としているので、イに「法の支配」が入る。
そしてドイツやフランスなど大陸法は、議会が作った法律(議会立法)に民主主義的な権威を求め、条文など明文化された法律を重視する。
したがって、ウに「議会立法」が入る。
エ:判例法、オ:コモン・ロー
イギリスやアメリカに代表される英米法の国々は、裁判の判例や慣習を重視する。
判例法とは、積み重ねられた判例と慣習による一般的な判断基準を法として用いることをいう。英米法はコモン・ロー(コモン:一般的な、普通のという意味)に基づく法体系とされている。
したがって、エに「判例法」、オに「コモン・ロー」が入る。