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令和4年-問45 記述式 民法

Lv3

問題 更新:2023-01-17 10:47:38

Aが所有する甲不動産について、Aの配偶者であるBが、Aから何ら代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の本件売買契約を締結した後、Bが死亡してAが単独で相続するに至った。CがAに対して、売主として本件売買契約を履行するよう求めた場合に、Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか。民法の規定および判例に照らし、その許否につき理由を付して40字程度で記述しなさい。

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正解例 AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても何ら信義に反しないので、履行を拒むことができる。(43字)

解説

本問題は、背景を踏まえながら法律行為の結果について履行を拒むことができるかできないかを判断し、その理由を述べることになる。

まず、本問の背景としてAとBは夫婦である。
民法は「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う(民法761条本文)」と規定し、この条文の意義について判例は、「夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定している」としている。
続いて「日常の家事に関する法律行為の具体的な範囲は、個々の夫婦によって異なるが、単に夫婦の内部的な事情やその行為の個別的な目的のみを重視して判断すべきではなく、さらに客観的に、その法律行為の種類、性質等をも十分に考慮して判断すべきである」(最判昭和44年12月18日)としている。
客観的に不動産の売買は高額な取引であり頻繁に発生するようなものではないため、日常の家事に関する法律行為にはあたらない。
したがって、Aから何ら代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の売買契約を締結したBの行為は、無権代理行為になる。

次に、本人が無権代理人を相続した場合について判例は、「相続人たる本人が被相続人の無権代理行為の追認を拒絶しても、何ら信義に反するところはないから、被相続人の無権代理行為は一般に本人の相続により当然有効となるものではないと解するのが相当」としている(最判昭和37年4月20日)。

設問にあてはめると、相続人Aが「本人」であり、無権代理行為を行った被相続人がBである。
これを踏まえると、AはBの行為の追認を拒絶できることとなり、理由は判例のとおりである。

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