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  4. 問29

令和4年-問29 民法 物権

Lv4

問題 更新:2024-01-04 16:17:54

機械部品の製造販売を行うAは、材料供給者Bと継続的取引関係を結ぶにあたり、A所有の甲土地に、極度額5,000万円、被担保債権の範囲を「BのAに対する材料供給にかかる継続的取引関係から生じる債権」とする第1順位の根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)をBのために設定してその旨の登記をした。その後、AはCから事業資金の融資を受け、その債務の担保として甲土地に第2順位の普通抵当権をCのために設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、明らかに誤っているものはどれか。

  1. 本件根抵当権について元本確定期日が定められていない場合、Aは、根抵当権の設定から3年が経過したときに元本確定を請求することができ、Bは、いつでも元本確定を請求することができる。
  2. 本件根抵当権について元本確定前に被担保債権の範囲を変更する場合、Cの承諾は不要であるが、その変更について元本確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。
  3. 本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Aは、Bに対して、極度額を法の定める額に減額することを請求することができる。
  4. 本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Bは、当該確定した元本に係る最後の2年分の利息、損害金については、極度額を超えても、本件根抵当権を行使して優先弁済を受けることができる。
  5. 本件根抵当権について元本が確定する前に、BがAに対して有する材料供給にかかる債権の一部をDに譲渡した場合、当該債権譲渡の対抗要件を具備していても、Dは、当該譲渡された債権について根抵当権を行使することはできない。
  解答&解説

正解 4

解説

本件根抵当権について元本確定期日が定められていない場合、Aは、根抵当権の設定から3年が経過したときに元本確定を請求することができ、Bは、いつでも元本確定を請求することができる。 1.正しい

元本確定期日が定められていない場合(民法398条の19第3項)、根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定する(民法398条の19第1項)。

根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができ、担保すべき元本は、その請求の時に確定する(民法398条の19第2項)。

よって、根抵当権設定者Aは、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、元本の確定を請求することができ、根抵当権者Bは、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。

本件根抵当権について元本確定前に被担保債権の範囲を変更する場合、Cの承諾は不要であるが、その変更について元本確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。 2.正しい

元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができるが(民法398条の4第1項)、後順位の抵当権者や第三者の承諾を得ることは求められていない(民法398条の4第2項)。

また、元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなされる(民法398条の4第3項)。

本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Aは、Bに対して、極度額を法の定める額に減額することを請求することができる。 3.正しい

元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる(民法398条の21第1項)。

よって、根抵当権設定者Aは、根抵当権者Bに対して、極度額を法の定める額(現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額)に減額することを請求することができる。

本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Bは、当該確定した元本に係る最後の2年分の利息、損害金については、極度額を超えても、本件根抵当権を行使して優先弁済を受けることができる。 4.誤り

「限度額を超えても」としている点が誤り。
根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するのであり、極度額を超えて、優先弁済を受けることはできない。

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる(民法398条の3第1項)。

元本の額が極度額に満たないからといっても、利息、損害金について極度額を超えているなら根抵当権を行使して優先弁済を受けることはできない。

本件根抵当権について元本が確定する前に、BがAに対して有する材料供給にかかる債権の一部をDに譲渡した場合、当該債権譲渡の対抗要件を具備していても、Dは、当該譲渡された債権について根抵当権を行使することはできない。 5.正しい

元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない(民法398条の7第1項前段)。

根抵当権においては、抵当権と異なり随伴性や附従性がないため、元本確定前に債権が譲渡されても、その債権は当該根抵当権によって当然には担保されない。

よって、根抵当権者Bが根抵当権設定者Aに対して有する材料供給にかかる債権の一部をDに譲渡して債権譲渡の対抗要件を具備しても、Dは譲渡された債権について根抵当権を行使することはできない。

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