会員登録で大量のオリジナル練習問題、一問一答、各種テストなどが使えます。問題数3000超。「道場生受験体験記」は必見です!

  1. 過去問
  2. 年度別
  3. 令和4年
  4. 問26

令和4年-問26 行政法 その他

Lv2

問題 更新:2023-01-17 10:17:14

国籍と住民としての地位に関する次の記述のうち、法令に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 事務監査請求をする権利は、日本国籍を有しない住民にも認められている。
  2. 住民監査請求をする権利は、日本国籍を有する住民にのみ認められている。
  3. 公の施設の利用関係については、日本国籍を有しない住民についても、不当な差別的な取り扱いをしてはならない。
  4. 日本国籍を有しない住民のうち、一定の期間、同一地方公共団体の区域内に居住したものは、当該地方公共団体の長や議会の議員の選挙権を有する。
  5. 日本国籍を有しない住民は、住民基本台帳法に基づく住民登録をすることができない。
  解答&解説

正解 3

解説

事務監査請求をする権利は、日本国籍を有しない住民にも認められている。 1.妥当でない

日本国籍を有しない住民には、事務監査請求をする権利は認められていないので、妥当ではない。

事務監査請求するには、普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有することが要件となっており(地方自治法75条1項、地方自治法74条1項)、当該選挙権は、『日本国民たる』年齢満18年以上の者で引き続き3ヵ月以上市町村の区域内に住所を有することが必要である(地方自治法18条)。

住民監査請求をする権利は、日本国籍を有する住民にのみ認められている。 2.妥当でない

日本国籍を有していない住民であっても、住民監査請求は認められている。

住民監査請求の主体は「普通地方公共団体の住民」であるため、選挙権を有さない者でも、納税者でなくても、日本人でなくても、法人であっても認められている。

普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補?するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる(地方自治法242条1項)。

公の施設の利用関係については、日本国籍を有しない住民についても、不当な差別的な取り扱いをしてはならない。 3.妥当である

普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならず(地方自治法244条2項)、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない(地方自治法244条3項)。
ここでいう不当な差別的取扱いとは、利用者の人種、信条、性別、身分等により、利用者の便宜・制限を図ったり、使用料に差を設けたりすることをいう。
そして、住民については、地方自治法11条から13条のような日本国民たる国籍が要件とされていないため、日本国籍を有しない住民について、不当な差別的な取り扱いをしてはならない。

日本国籍を有しない住民のうち、一定の期間、同一地方公共団体の区域内に居住したものは、当該地方公共団体の長や議会の議員の選挙権を有する。 4.妥当でない

日本国籍を有しない住民は、一定期間同一地方公共団体の区域内に居住したとしても、地方公共団体の長や議会の議員の選挙権を有しない。したがって妥当でない。

日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3ヵ月以上市町村の区域内に住所を有するものは、公職選挙法の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する(地方自治法18条、公職選挙法9条)。

地方参政権に関して判例は、「日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした地方自治法11条、18条、公職選挙法9条2項は、憲法15条1項、93条2項に違反しない」とした(最判平成7年2月28日)。

日本国籍を有しない住民は、住民基本台帳法に基づく住民登録をすることができない。 5.妥当でない

平成24年7月9日に外国人登録制度が廃止され、外国人住民についても日本人と同様に住民基本台帳法の適用対象となった。
そのため、日本の国籍を有しない者のうち、中長期在留者、特別永住者、一時庇護許可者又は仮滞在許可者、出生による経過滞在者又は国籍喪失による経過滞在者であって、市町村の区域内に住所を有する者は住民基本台帳法に基づく住民登録ができ、マイナンバーカードの交付申請もできる。

  1. 過去問
  2. 年度別
  3. 令和4年
  4. 問26

ページ上部へ