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令和3年-問32 民法 債権

Lv3

問題 更新:2023-01-27 21:07:12

債権者代位権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。
  2. 債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。
  3. 債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。
  4. 債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。
  5. 債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。
  解答&解説

正解 5

解説

債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。 1.誤り

債務者の取消権について、債務者に代位して行使することは可能である。

債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる(民法423条1項)。

ただし、被代位権利として行使することができない権利は次の三つである。

①債務者の一身に専属する権利(民法423条1項ただし書き)
②差押えを禁じられた権利(民法423条1項ただし書き)
③その債権が強制執行により実現することのできないもの(民法423条3項)

債務者の取消権については、上記①~③に該当しないので、被代位権利として行使することが可能である。

なお、債務者に属する形成権(権利者の一方的な意思表示によって一定の法律関係を発生させることのできる権利)も代位の対象になり得るとされている(解除権につき大判大正8年2月8日、相殺権につき大判昭和8年5月30日)。

債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。 2.誤り

自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても被代位権利を行使することができるとしているため誤りである。

条文によると、債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない(民法423条2項)とされており、「その」とは、債権者の債権のことである。

債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。 3.誤り

条文上、自己(債権者)は、金銭の支払い、動産の引渡であれば、自分に直接渡してもらうことが可能である。

条文によると、債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができるとされている(民法423条の3前段)。

なお、直接渡せるものとして、不動産登記名義が入っていないことに注意しておきたい。

債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。 4.誤り

債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできないとしているため誤りである。

条文によると、債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられないとしている(民法423条の5)。

債権者代位権は、債務者が権利を行使しない場合に限って、債権者が代位行使できるのであって、債権者が行使したからといって、そのことを理由に債務者の代位権が制限されるわけではない。

債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。 5.正しい

債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない(民法423条の5)。

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