令和2年-問46 記述式 民法
Lv4
問題 更新:2026-01-11 22:49:57
以下の[設例]および[判例の解説]を読んで記述せよ。
[設例]
A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨(えんこん)の情を晴らすため、AをそそのかしてもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。
[判例の解説]
上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。
上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつ、Dへの譲渡人Cが無権利者でない理由を、40字程度で記述しなさい。
背信的悪意者は、
正解例 信義則上、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないが、AC間の売買自体は無効でないため。(44字)
解説
本問は、最判昭和44年1月16日、最判平成8年10月29日を題材としている。
[判例の解説]部分は最判平成8年10月29日の判旨部分であり、設問はその理由部分を問うものである。
背信的悪意者の意義
実体上物権変動があった事実を知りながら当該不動産について利害関係を持った者は、物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、背信的悪意者は登記の欠缺を主張する正当な利益を有しないものであって、民法177条にいう「第三者」にあたらない(最判昭和44年1月16日)。
背信的悪意者とは、信義則上、登記の欠缺を主張することができない者ということである。
譲渡人Cが無権利者でない理由
不動産の二重売買において、第一譲受人は背信的悪意者に対して、登記なくして対抗できるが、更に背信的悪意者から譲渡された転得者に対しては、転得者自身が第一譲受人との関係で背信的悪意者と評価されない限り、正当な利益を有する第三者にあたり第一譲受人は登記なくして対抗できない(最判平成8年10月29日)。
Bは、登記なくして所有権取得をCに主張することができるだけであり、AC間の売買契約自体の無効をきたすものではないということである。