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令和元年-問19 行政法 行政事件訴訟法

Lv3

問題 更新:2023-01-28 12:56:19

抗告訴訟に関する次の記述について、正しいものはどれか。

  1. 裁判所は、処分または裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者または当該行政庁の申立てを待たず、当該行政庁を職権で訴訟に参加させることができる。
  2. 処分の取消しの訴えにおいて、裁判所は職権で証拠調べをすることができるが、その対象は、訴訟要件に関するものに限られ、本案に関するものは含まれない。
  3. 取消訴訟の訴訟物は、処分の違法性一般であるから、取消訴訟を提起した原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法についても、それを理由として処分の取消しを求めることができる。
  4. 裁判所は、処分の取消しの訴えにおいて、当該処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮した上、当該処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、当該訴えを却下することができる。
  5. 行政庁に対して一定の処分を求める申請を拒否された者が、処分の義務付けの訴えを提起する場合、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、処分の義務付けの訴えのみを単独で提起することができる。
  解答&解説

正解 1

解説

裁判所は、処分または裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者または当該行政庁の申立てを待たず、当該行政庁を職権で訴訟に参加させることができる。 1.正しい。

行政庁の訴訟参加について条文は「裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもって、その行政庁を訴訟に参加させることができる」と規定している(行政事件訴訟法23条1項)。

行政処分に関わる過程には、処分庁以外の行政庁が関与することも少なくなく、そのような行政庁が有する資料を提出させまた意見を述べさせることで争点に関する訴訟資料を充実し、適正な裁判を確保することを目的としている。

処分の取消しの訴えにおいて、裁判所は職権で証拠調べをすることができるが、その対象は、訴訟要件に関するものに限られ、本案に関するものは含まれない。 2.誤り。

裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる(行政事件訴訟法24条本文)とされており、対象は「訴訟要件に関するもの」に限定されていない。
したがって、当事者の主張する事実について証拠が不十分の場合に、裁判所が職権で証拠収集することができる。

行政訴訟においては、訴訟の結果が公益に影響する場合が多く、裁判の適性を図るという要請が大きいからである。

なお、裁判所の専断をさけるために、証拠調べの結果について、当事者の意見を聞かなければならない(行政事件訴訟法24条ただし書き)。

取消訴訟の訴訟物は、処分の違法性一般であるから、取消訴訟を提起した原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法についても、それを理由として処分の取消しを求めることができる。 3.誤り。

取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない(行政事件訴訟法10条1項)。
なぜなら、取消訴訟は、違法な行政権の行使から原告の権利を守ることを目的としているからである。

裁判所は、処分の取消しの訴えにおいて、当該処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮した上、当該処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、当該訴えを却下することができる。 4.誤り。

処分または裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分または裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を「棄却」することができ(行政事件訴訟法31条1項)、これを事情判決という。

却下と棄却は、どちらも訴えが退けられることをさすが、却下は要件を満たしていないとして内容を検討されずに退けられることで、棄却は、内容を検討したうえで、理由がない訴えとして退けられる違いがある。

行政庁に対して一定の処分を求める申請を拒否された者が、処分の義務付けの訴えを提起する場合、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、処分の義務付けの訴えのみを単独で提起することができる。 5.誤り。

申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項2号)については、処分又は裁決に係わる取消訴訟、若しくは無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない(行政事件訴訟法37条の3第3項2号)。

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