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  4. 問44

平成30年-問44 記述式 行政法

Level3

問題 更新:2019-01-18 15:24:29

Xは、A県B市内において、農地を所有し、その土地において農業を営んできた。しかし、高齢のため農作業が困難となり、後継者もいないため、農地を太陽光発電施設として利用することを決めた。そのために必要な農地法4条1項所定のA県知事による農地転用許可を得るため、その経由機関とされているB市農業委員会の担当者と相談したところ、「B市内においては、太陽光発電のための農地転用は認められない。」として、申請用紙の交付を拒否された。そこで、Xは、インターネットから入手した申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。この場合、農地転用許可を得るため、Xは、いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
農地法
(農地の転用の制限)
第4条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(中略)の許可を受けなければならない。(以下略)
2 前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した申請書を、農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出しなければならない。
3 農業委員会は、前項の規定により申請書の提出があったときは、農林水産省令で定める期間内に、当該申請書に意見を付して、都道府県知事等に送付しなければならない。

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正解例 A県を被告として、農地転用許可の義務付け訴訟に不作為の違法確認の訴訟を併合し提起する。(43字)

解説

[採点キーワード]
誰を被告とするか 4点
農地転用の許可の義務付け訴訟 4点
不作為の違法確認訴訟 4点
併合 8点
  • B市農業委員会と書いた場合は0点
  • 上記以外の訴訟を書いた場合は0点
  • 義務付けの訴え・違法確認の訴え、でもそれぞれ4点

[解説]

本問では、農地転用許可を得るため、Xは、「①いかなる被告に対し、②どのような訴訟を提起すべきか」と質問しているため、解答は「○○を被告とし、○○○○訴訟を提起する(すべき)。」と答えることになる。

まず、「どのような訴訟を提起するか」から説明していくことにする。
本問では、Xは、「農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会へ郵送した」とあり、農地法の規定に基づき、B市農業委員会を経由してA県知事に提出している。

一方、B市農業委員会は、農地法の規定によれば、「申請書の提出があったときは、農林水産省令で定める期間内に、当該申請書に意見を付して、都道府県知事等に送付しなければならない」とあり、農地転用許可は、都道府県知事がするものであって、B市農業委員会の担当者がするものでない。

また、行政手続法には「行政庁は、申請が事務所に到達したときは遅滞なく審査を開始しなければならない」(行政手続法7条)と規定されており、申請の到達によって審査開始義務が発生しているといえる。

本問のXの農地転用許可申請は、「知事」にするとあるが、知事に直接届いてなくとも、B市農業委員会に届いていれば、審査を開始する義務が生じてことになる。つまり、Xが申請をして、これに対して行政庁が応答しない場合であり、処分・裁決が存在していない状態である。よって、取消訴訟での救済は不可能となる。
Xのような申請人を救済するための訴訟類型として、不作為の違法確認訴訟がある(行政事件訴訟法3条5項)。

この不作為の違法確認訴訟とは、行政庁が、法令に基づく申請があり、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにもかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟で、申請に対して相当の期間内に処分等が行われないことについて違法と判断されるのであるが、この訴訟は、違法を確認するだけで、それ以上に行政庁に義務づけるものではない。そこで、直接的な救済を可能にすべく、義務付け訴訟を合わせて提起することになる。

義務付け訴訟とは、行政庁が一定の処分等又は裁決をすべきであるのにこれがなされないときに行政庁に対しその処分又は裁決をすべき旨を命ずる訴訟である。
この義務付け訴訟には、大きく分けて1号義務付け訴訟(非申請型)と2号義務付け訴訟(申請型)があり、単独でできる場合と取消訴訟、無効等確認の訴え又は不作為の違法確認の訴えを併合提起することを要する場合がある。

本問では、2号義務付け訴訟、すなわち申請型(不作為型)(「申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないとき」(行政事件訴訟法3条6項2号、行政事件訴訟法37条の3第1項1号)に該当するので、農地転用許可の義務付けの訴訟に不作為の違法確認の訴えを併合して提起することになる。

次に、「いかなる被告に対し」について説明する。

不作為の違法確認の訴え、義務付け訴訟でも、取消訴訟の被告適格(行政事件訴訟法11条)の規定を準用している。

被告適格とは、訴訟において被告となりえる法的資格のことであり、原則として、「処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があった後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合」となるので、本問の場合は、A県を被告として提起することになる。


なお、本問題については、本サイトの練習問題記述式行政法Ⅱの問48で出題しており、会員においては容易に対応できたであろう。

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