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  3. 平成30年
  4. 問43

平成30年-問43 行政法

レベル2

問題 更新:2019-01-17 17:01:54

次の文章は、地方公共団体の施策の変更に関する最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]~[エ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

・・・[ア]の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることはもとより当然であって、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと[イ]し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との聞に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であっても、右のように密接な交渉を持つに至った当事者間の関係を規律すべき[ウ]の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる[イ]に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその[イ]に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された[イ]関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の[エ]責任を生ぜしめるものといわなければならない。そして、前記[ア]の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤をなす政治情勢の変化をもってただちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の[イ]を保護しないことが許されるものと解すべきではない。

(最三小判昭和56年1月27日民集35巻1号35頁)

  1. 信義衡平
  2. 私的自治
  3. 公平
  4. 信頼
  5. 確約
  6. 契約
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  10. 団体自治
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  12. 刑事
  13. 住民自治
  14. 比例
  15. 権利濫用禁止
  16. 過失
  17. 期待
  18. 継続
  19. 監督
  20. 措置
  解答&解説

正解

13
4
1
9

解説

本問は、特定の者が個別具体的な勧告等に動機付けられ、社会通念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において、損害を補償するなどの代替的措置を講ずることなく、施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるものでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体に不法行為責任が生じるとして信頼の保護を認めた、最高裁判決について出題したものである。

ア.住民自治

地方自治法1条。「この法律は、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする」
地方自治法1条の「地方自治の本旨」は、明文では定義はされてないが、一般に、団体自治と住民自治の意味があると解されている。
住民自治とは、実際に居住している地域の住民がその地域の行政を自分たちの意思にしたがって自主的に行うことである。
本問の「地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんら法的責任も伴わないということを意味するものではないから・・・」との文言から住民自治が類推できる。

イ.信頼

行政法では、「信頼保護の原則」という用語を使うことがある。「信頼保護の原則」とは、行政主体の言動を信頼し、これに従った者を保護しようとするもので、信義誠実の原則と同義ないし、それを発展させたものとして扱われている。

ウ.信義衡平

「信義誠実の原則」「信義則」と同義。
行政法の一般原則である「信義誠実の原則」は、もともと民法1条2項「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」に由来し、当該規定が私法の一般原則のみならず、行政法の分野を含めた法律関係全般に妥当するようになったものであるが、行政法の法律関係では、より慎重な適用が求められる。なぜならば、信義則の適用を安易に認めた場合、個人の権利・利益を保護するために、違法な行政活動を維持することにつながりかねず、法治行政の原理に反するからである。
信義衡平の「衡平」とは、つりあい(バランス)がとれているという意味があり、単に相手方に対して「誠実」に行動するのみならず、相手方の期待を含め、諸般の事情を適切にバランスよく考慮するとの意味が込められていると思料できる。
なお、行政法における信義則の適用について、判例によれば、「法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである」(最判昭和62年10月30日)とある。

エ.不法行為

本問の「イ関係を不当に破壊するものとして、違法性を帯び・・・」から類推できるであろう。
本判例では、「損害を補償するなどの代償的措置を講ずるとなく・・・・」としており、一度なされた決定について変更すること自体を否定する趣旨ではないので、その措置を講ずれば、一度なされた決定を変更できるとの趣旨である。

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