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  4. 問9

平成30年-問9 行政法 行政総論

Level3

問題 更新:2019-01-17 16:38:45

行政上の法律関係に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 公営住宅の使用関係については、一般法である民法および借家法(当時)が、特別法である公営住宅法およびこれに基づく条例に優先して適用されることから、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。
  2. 食品衛生法に基づく食肉販売の営業許可は、当該営業に関する一般的禁止を個別に解除する処分であり、同許可を受けない者は、売買契約の締結も含め、当該営業を行うことが禁止された状態にあるから、その者が行った食肉の買入契約は当然に無効である。
  3. 租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法(当時)所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない。
  4. 建築基準法において、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされているところ、この規定が適用される場合、建物を築造するには、境界線から一定以上の距離を保たなければならないとする民法の規定は適用されない。
  5. 公営住宅を使用する権利は、入居者本人にのみ認められた一身専属の権利であるが、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという公営住宅法の目的にかんがみ、入居者が死亡した場合、その同居の相続人がその使用権を当然に承継することが認められる。
  解答&解説

正解 4

解説

公法と私法の考え方に関しては、「公法私法二元論」と「公法私法一元論」の2つの考え方がある。「公法私法二元論」とは双方に妥当する理論が異なるため公法と私法を分けて考える従来の通説であり、「公法私法一元論」とは公法と私法の区別をあらかじめしないで、それぞれの問題となっている法律関係や制度の趣旨を個別具体的に検討して判断するという考え方で、現在の通説であり、判例もこの立場と考えられている。
本問は、公法と私法の関係が問題となった主な判例から出題されている。

1.誤り

公営住宅の使用関係について、判例は「公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。」(最判昭59年12月13日)として、公営住宅の使用関係についても私人間の信頼関係理論が適用されると判示している。
本肢では、公営住宅の使用関係について、「信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。」との結論は正しいものの、「一般法である民法および借家法(当時)が、特別法である公営住宅法およびこれに基づく条例に優先して適用される」の記述は、特別法は一般法に優先するとの特別法優位の原則の点から誤りである。

2.誤り

本肢は、許可のない業者の売買契約の効力が問題となった事案である。
判例では、「食品衛生法は単なる取締法規にすぎず、食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉の買入契約は、私法上は無効ではない」(最判昭35年3月18日)としていることから、許可の有無は私法上の効力に影響を及ぼさず、売買契約は有効である。
許可のない私法上の契約が有効か無効かについては、その許可の根拠となる行政法規を強行法規と取締法規に分類して、強行法規に違反した場合は、私法契約も無効になるが、取締法規に違反したに過ぎない場合は、私法契約は無効にならないと解されている。

3.誤り

本肢は、農地買収処分と民法177条適用の可否が問題になった事案である。
判例は、「私経済上の取引の安全を保障するために設けられた民法177条の規定は、自作法による農地買収処分には、その適用を見ないものと解すべきである」(最大判昭和28年2月18日)として、民法177条による登記の対抗要件について、公法関係においての適用を否定しているが、これは、あくまで自作法によるによる農地買収処分において否定されたに過ぎない。税金滞納による差押えでは民法177条の適用を肯定している判例もあり(最判昭和31年4月24日)、公法関係において民法177条が一切適用を受けないということではないことに注意を要する。
なお、民法177条適用を否定した判例は「公法私法二元論」の立場、肯定した判例は「公法私法一元論」の立場であると解されている。

4.正しい

本肢は、建建築基準法と民法との位置づけが問題になった事案である。
民法234条1項は、建物を建築するには、境界線から50㎝以上の距離を置くことを要求しているが、それとは異なる基準を規定する建築基準法65条は民法234条1項の特別規定かとの位置づけについて、判例は、「建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当」としている(最判平成元年9月19日)。

5.誤り

本肢は、公営住宅使用権の相続性が問題となった事案である。
判例では、「公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば、入居者が死亡した場合には、その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はない」としている(最判平成2年10月18日)。
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