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  4. 問31

平成28年-問31 物権Ⅱ

レベル4

問題 更新:2016-12-08 17:52:47

Aは債権者Bのため、A所有の甲土地に、被担保債権の範囲をA・B間の継続的売買に係る売掛代金債権とし、その極度額を1億円とする根抵当権を設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 元本確定前に、A・Bは協議により、被担保債権の範囲にA・B間の金銭消費貸借取引に係る債権を加えることで合意した。 A・Bがこの合意を後順位抵当権者であるCに対抗するためには、被担保債権の範囲の変更についてCの承諾が必要である。
  2. 元本確定前に、Bが、Aに対して有する継続的売買契約に係る売掛代金債権をDに対して譲渡した場合、Dは、その債権について甲土地に対する根抵当権を行使することはできない。
  3. 元本確定前においては、Bは、甲土地に対する根抵当権をAの承諾を得てEに譲り渡すことができる。
  4. 元本が確定し、被担保債権額が6,000万円となった場合、Aは、Bに対して甲土地に対する根抵当権の極度額1億円を、6,000万円と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金および債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求できる。
  5. 元本が確定し、被担保債権額が1億2,000万円となった場合、甲土地について地上権を取得したFは、Bに対して1億円を払い渡して根抵当権の消滅を請求することができる。
  解答&解説

正解 1

解説

根抵当権についての問題である。本問は難問であろう。本問ができなかったとしても、合否には影響はない。おそらく確信を持って正解を導けたのは、根抵当権について深く勉強をする司法書士試験経験者くらいであると思われる。

なお本問の解説に入る前に、根抵当権の問題を解く上での注意事項を述べておく。それは、根抵当権の元本確定前後をしっかりと意識することである。
元本確定前の根抵当権は附従性・随伴性がなく、通常の抵当権とは異なる性質の担保物権である。一方で根抵当権の元本が確定すると、附従性・随伴性が復活し、ほぼ通常の抵当権と同様の担保物権になるのである。本問の1~3が元本確定前の根抵当権についての問題で、4~5が元本確定後の根抵当権についての問題である。

1.誤り。

条文によると、元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができ、当該変更には、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しないとされている(民法第398条の4第1項、第2項)。
なぜなら、後順位担保権者からみれば、先順位の根抵当権者が「極度額」を変更しない限り、債権の範囲を変更したとしても、先順位の根抵当権者が優先弁済を受ける額には変更はないからである。
したがって、被担保債権の範囲の変更について後順位抵当権者であるCの承諾が必要であるとしている本肢は誤り。

2.正しい。

条文によると、元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができないと規定されている(民法第398条の7第1項)。
したがって、根抵当権者から債権譲渡を受けたDは、その債権について根抵当権を行使することができないとした本肢は正しい。
補足であるが、本肢は民法398条の7第1項を知らなくても正誤を判断できる問題である。「元本確定前の根抵当権=附従性・随伴性なし」とだけ覚えておけば、Dは根抵当権を行使できないと分かるのである。

3.正しい。

条文によると、元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができるとされている(民法第398条の12)。いわゆる根抵当権の「全部譲渡」である。
したがって、根抵当権者Bは設定者Aの承諾を得て根抵当権を譲渡することができるとする本肢は正しい。
補足であるが、確定前の根抵当権には附従性・随伴性がないのだから、根抵当権の全部譲渡をしても、譲受人には債権は移転しないことは当然である。

4.正しい。

条文によると、元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができるとされている(民法第398条の21第1項)。
したがって、条文のままである本肢は正しい。
これは根抵当権の極度額減額請求であるが、元本確定後にしかできない請求である点には注意を要する。

5.正しい。

民法によると、元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができるとされている(民法第398条の22第1項)。根抵当権者にとっては、優先弁済を受けることができるのは「極度額」までであり、第三取得者等が極度額に相当する金額を払ってくれるのであれば、ある意味において担保物権としての目的は達成できるためである。
したがって、本肢は正しい。
なお、通常の抵当権の消滅請求をすることができるのは、抵当不動産の第三取得者である(民法第379条)。民法第379条を確認して欲しい。

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