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平成26年-問18 行政法 行政事件訴訟法

Lv2

問題 更新:2023-01-30 21:06:57

狭義の訴えの利益に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 都市計画法に基づく開発許可の取消しを求める利益は、開発行為に関する工事の完了によっても失われない。
  2. 市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益は、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了したとしても失われない。
  3. 公文書の非公開決定の取消しを求める利益は、当該公文書が裁判所に書証として提出された場合でも失われない。
  4. 土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われない。
  5. 衆議院議員選挙を無効とすることを求める利益は、その後に衆議院が解散され、当該選挙の効力が将来に向かって失われたときでも失われない。
  解答&解説

正解 3

解説

都市計画法に基づく開発許可の取消しを求める利益は、開発行為に関する工事の完了によっても失われない。 1.妥当でない。

開発行為に関する工事が完了すれば訴えの利益は消滅する。

都市計画法に基づく開発許可の取消を求める利益について判例は「開発行為に関する工事が完了し、検査済証の交付もされた後においては、開発許可が有する前記のようなその本来の効果は既に消滅しており、他にその取消しを求める法律上の利益を基礎付ける理由も存しないことになるから、開発許可の取消しを求める訴えは、その利益を欠く」としている(最判平成5年9月10日)。

市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益は、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了したとしても失われない。 2.妥当でない。

原告らにかかる保育の実施期間が全て満了すれば訴えの利益は消滅する。

市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益について判例は「上告人らに係る保育の実施期間がすべて満了していることが明らかであるから、本件改正条例の制定行為の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。」としている(最判平成21年11月26日)。

公文書の非公開決定の取消しを求める利益は、当該公文書が裁判所に書証として提出された場合でも失われない。 3.妥当である。

「本件条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから、請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。(最判平成14年2月28日)」

土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われない。 4.妥当でない。

土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益について判例は「建築基準法9条1項の規定により除却命令を受けた違反建築物について代執行による除却工事が完了した以上、右除却命令および代執行令書発付処分の取消しを求める訴は、その利益を有しないものと解すべきである」としている(最判昭和48年3月6日)。

衆議院議員選挙を無効とすることを求める利益は、その後に衆議院が解散され、当該選挙の効力が将来に向かって失われたときでも失われない。 5.妥当でない。

衆議院が解散され当該選挙の効力が将来に向かって失われたときは、訴えの利益も消滅する。

衆議院議員選挙を無効とすることを求める利益について判例は「解散によって本件選挙の効力は将来に向かって失われたものと解すべきであるから、本件訴えについては、訴えの利益が失われたというべきである。」としている(最判平成17年9月27日)。

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