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平成26年-問10 行政法 行政総論

Lv3

問題 更新:2023-01-30 20:49:43

行政調査に関する次のア~エの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。争いがある場合には最高裁判所の判例の立場による。

ア.行政手続法には、行政調査の手続に関する通則的な規定は置かれておらず、また、同法は、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導には適用されない。

イ.警察官職務執行法上の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要性、緊急性の認められる場合には、相手方への強制にわたるものであっても適法である。

ウ.法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すなど、相手方に不利益を課すことも許される。

エ.税務調査(質問検査権)に関しては、国税通則法により、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ
  解答&解説

正解 2

解説

行政手続法には、行政調査の手続に関する通則的な規定は置かれておらず、また、同法は、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導には適用されない。 ア.正しい。

「行政手続法には、行政調査の手続に関する通則的な規定は置かれておらず」という点について、そのとおりであり正しい。

そして後段の「行政手続法は、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導には適用されない」との部分について、条文で「報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導」には、行政手続法の適用がないことが明記されている(行政手続法3条1項14号)。

警察官職務執行法上の職務質問に付随して行う所持品検査は、検査の必要性、緊急性の認められる場合には、相手方への強制にわたるものであっても適法である。 イ.誤り。

所持品検査は「強制にわたるものであっても適法」とする本肢は誤り。

判例は「職務質問に附随して行う所持品検査は、任意手段として許容されるものであるから、所持人の承諾を得てその限度でこれを行うのが原則であるが、職務質問ないし所持品検査の目的、性格及びその作用等にかんがみると、所持人の承諾のない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは相当でなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される場合があると解すべきである」としている(最判昭和53年9月7日)。

なお、日本国憲法35条1項は「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、かつ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない」と規定しているので条文を参照されたい。

法律の規定を設ければ、行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すなど、相手方に不利益を課すことも許される。 ウ.正しい。

行政調査に応じなかったことを理由として、刑罰を科すことで、間接的に調査を強制することを「間接強制調査」といい、法律の規定によって認められている場面がある(国税通則法127条2号参照)。

税務調査(質問検査権)に関しては、国税通則法により、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている。 エ.誤り。

「税務調査(質問検査権)に関しては、急速を要する場合を除き、事前に裁判官の許可を得ることが必要とされている」という条文は、国税通則法にはない。

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