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平成26年-問5 憲法 法の下の平等

Lv5

問題 更新:2023-01-30 20:39:48

投票価値の平等に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 議員定数配分規定は、その性質上不可分の一体をなすものと解すべきであり、憲法に違反する不平等を生ぜしめている部分のみならず、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。
  2. 投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となるが、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間を経過していなければ、事情判決の法理により選挙を有効とすることも許される。
  3. 衆議院議員選挙については、的確に民意を反映する要請が強く働くので、議員1人当たりの人口が平等に保たれることが重視されるべきであり、国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない。
  4. 参議院議員選挙区選挙は、参議院に第二院としての独自性を発揮させることを期待して、参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したものであるから、かかる仕組みのもとでは投票価値の平等の要求は譲歩・後退を免れない。
  5. 地方公共団体の議会の議員の定数配分については、地方自治の本旨にもとづき各地方公共団体が地方の実情に応じ条例で定めることができるので、人口比例が基本的な基準として適用されるわけではない。
  解答&解説

正解 1

解説

議員定数配分規定は、その性質上不可分の一体をなすものと解すべきであり、憲法に違反する不平等を生ぜしめている部分のみならず、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。 1.妥当である。

判例は、「選挙区割及び議員定数の配分は、議員総数と関連させながら、複雑、微妙な考慮の下で決定されるのであって、一旦このようにして決定されたものは、一定の議員総数の各選挙区への配分として、相互に有機的に関連し、一の部分における変動は他の部分にも波動的に影響を及ぼすべき性質を有するものと認められ、その意味において不可分の一体をなすと考えられるから、右配分規定は、単に憲法に違反する不平等を招来している部分のみでなく、全体として違憲の瑕疵を帯びる(最大判昭和51年4月14日)。」としている。

常識的に考えてみても、議員定数配分規定というのは全体で考えるべき問題であるから、一部だけが違憲・無効ということは考えにくい。

投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となるが、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間を経過していなければ、事情判決の法理により選挙を有効とすることも許される。 2.妥当でない。

投票価値の不平等が国会の合理的裁量の範囲を超えるという事情のみで選挙が違憲・違法となるとしている点で誤っている。
また、合理的期間内には事情判決の法理を使用する必要はないのであるから(違憲・無効ではない)、その点についても誤っている。

判例は、「人口の異動は不断に生じ、したがって選挙区における人口数と議員定数との比率も絶えず変動するのに対し、選挙区割と議員定数の配分を頻繁に変更することは、必ずしも実際的ではなく、また、相当でもないことを考えると、右事情によって具体的な比率の偏差が選挙権の平等の要求に反する程度となったとしても、これによって直ちに当該議員定数配分規定を憲法違反とすべきものではなく、人口の変動の状態をも考慮して合理的期間内における是正が憲法上要求されていると考えられるのにそれが行われない場合に始めて憲法違反と断ぜられる(最大判昭和51年4月14日)。」としている。

衆議院議員選挙については、的確に民意を反映する要請が強く働くので、議員1人当たりの人口が平等に保たれることが重視されるべきであり、国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない。 3.妥当でない。

衆議院議員の選挙について、議員一人当たりの人口の平等以外の要素を考慮することは許されないとしている点で、妥当でない。

判例は、「憲法は、投票価値の平等についても、これをそれらの選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準としているわけではなく、国会は、衆議院及び参議院それぞれについて他にしんしゃくすることのできる事項をも考慮して、公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を具体的に決定することができるのであり、原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるべきもの」としている(最大判昭和51年4月14日)。

参議院議員選挙区選挙は、参議院に第二院としての独自性を発揮させることを期待して、参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したものであるから、かかる仕組みのもとでは投票価値の平等の要求は譲歩・後退を免れない。 4.妥当でない。

参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したとしている点で、妥当であるとはいえない。

判例は、「憲法が二院制を採用し、各議院の権限及び議員の任期等に差異を設けているところから、ひとしく全国民を代表する議員であるという枠の中にあっても、参議院議員については、衆議院議員とはその選出方法を異ならせることによってその代表の実質的内容ないし機能に独特の要素を持たせようとする意図の下」で、「参議院議員」の「地方選出議員・・・ついては、都道府県・・・を構成する住民の意思を集約的に反映させるという意義ないし機能を加味しようとしたものである」としつつ、「参議院地方選出議員の選挙の仕組みについて事実上都道府県代表的な意義ないし機能を有する要素を加味したからといって、これによって選出された議員が全国民の代表であるという性格と矛盾抵触することになるものということもできない」としている(最大判昭和58年4月27日)。

なお、憲法43条1項は「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と規定していることからもこの肢は妥当ではない。

地方公共団体の議会の議員の定数配分については、地方自治の本旨にもとづき各地方公共団体が地方の実情に応じ条例で定めることができるので、人口比例が基本的な基準として適用されるわけではない。 5.妥当でない。

地方公共団体の議会議員の定数配分について人口比例が基本的な基準として適用されるわけではないとしている点で、妥当であるとはいえない。

判例は、「地方公共団体の議会の議員の選挙に関し、当該地方公共団体の住民が選挙権行使の資格において平等に取り扱われるべきであるにとどまらず、その選挙権の内容、すなわち投票価値においても平等に取り扱われるべきであることは、憲法の要求するところであり、公選法15条7項は、憲法の右要請を受け、地方公共団体の議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準とし、各選挙人の投票価値が平等であるべきことを強く要求していることが明らか(最判昭和59年5月17日)」としている。

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