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  4. 問3

平成26年-問3 憲法 新しい人権

Lv3

問題 更新:2023-01-30 20:36:35

憲法13条に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 幸福追求権について、学説は憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であると解するが、判例は立法による具体化を必要とするプログラム規定だという立場をとる。
  2. 幸福追求権の内容について、個人の人格的生存に必要不可欠な行為を行う自由を一般的に保障するものと解する見解があり、これを「一般的行為自由説」という。
  3. プライバシーの権利について、個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせないという消極的側面と並んで、積極的に自己に関する情報をコントロールする権利という側面も認める見解が有力である。
  4. プライバシーの権利が、私法上、他者の侵害から私的領域を防御するという性格をもつのに対して、自己決定権は、公法上、国公立の学校や病院などにおける社会的な共同生活の中で生じる問題を取り扱う。
  5. 憲法13条が幸福追求権を保障したことをうけ、人権規定の私人間効力が判例上確立された1970年代以降、生命・身体、名誉・プライバシー、氏名・肖像等に関する私法上の人格権が初めて認められるようになった。
  解答&解説

正解 3

解説

幸福追求権について、学説は憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であると解するが、判例は立法による具体化を必要とするプログラム規定だという立場をとる。 1.誤り。

前半は正しいが、後半の、判例は立法による具体化を必要とするプログラム規定だという立場をとるという点は、誤っている。

判例は、新しい人権が、裁判上の救済を受けることのできる具体的権利であることを肯定している。

いわゆる肖像権について判例は、「個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。
これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない(最大判昭和44年12月24日)」としている。

幸福追求権の内容について、個人の人格的生存に必要不可欠な行為を行う自由を一般的に保障するものと解する見解があり、これを「一般的行為自由説」という。 2.誤り。

本肢のような考え方を「人格的利益説」といい、「一般的行為自由説」としている点で誤っている。

幸福追求権の内容について、「個人の人格的生存に必要不可欠な行為を行う自由を一般的に保障するもの」と解する見解を「人格的利益説」という。

「一般行為自由説」とは、幸福追求権の内容について、「個人の自由な行為という意味での『一般的行為の自由』が保障されるとするもの」をいう。
この見解は、人格的生存と強い関係はない。

プライバシーの権利について、個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせないという消極的側面と並んで、積極的に自己に関する情報をコントロールする権利という側面も認める見解が有力である。 3.正しい。

プライバシーの権利は、これだけ高度な情報化社会においては、「自己に関する情報をコントロールする権利」(情報プライバシー権)と捉えられている。本肢における自由権的側面のみならず、プライバシーの保護を公権力に対して積極的に請求していくという側面が重視されるようになってきている。

なお、最高裁判所の判例でプライバシー権の内容を明確に定義したものはない。

プライバシーの権利が、私法上、他者の侵害から私的領域を防御するという性格をもつのに対して、自己決定権は、公法上、国公立の学校や病院などにおける社会的な共同生活の中で生じる問題を取り扱う。 4.誤り。

自己決定権は、公法上、国公立の学校や病院などにおける社会的な共同生活の中で生じる問題を取り扱うとしている点が誤っている。

自己決定権とは、個人が一定の私的事項について、公権力の干渉を受けずに、自ら決定することができる権利をいう。

なお、問題となるものとして、

①自己の生命・自由の処分の自由(治療拒否、安楽死、自殺など)
②種の保存にかかわるもの(断種、避妊、妊娠拒絶など)
③ライフスタイルの決定の自由(髪型、服装など)

があり、自己決定権は、私法上の問題を取り扱い、広義のプライバシーの権利を構成するものと解されている。

憲法13条が幸福追求権を保障したことをうけ、人権規定の私人間効力が判例上確立された1970年代以降、生命・身体、名誉・プライバシー、氏名・肖像等に関する私法上の人格権が初めて認められるようになった。 5.誤り。

前半は正しいが、後半が誤りである。

人権規定の私人間効力が判例上確立されたのは、1970年代の三菱樹脂事件判決(最大判昭和48年12月12日)である。

「私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるときは、これに対する立法措置によってその是正を図ることが可能であるし、また、場合によっては、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、一面で私的自治の原則を尊重しながら、他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存するのである。」(最大判昭和48年12月12日)

しかし、生命・身体、名誉等に関する私法上の人格権については、上記判決以前より認められている。

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