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平成26年-問2 基礎法学 法令用語

Lv3

問題 更新:2023-01-30 20:34:08

法令における通常の用語法等に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。
  2. 「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。
  3. 法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。
  4. 法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言われる。
  5. 「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。
  解答&解説

正解 5

解説

「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。 1.妥当である。

階層のある複数の単語を並列的に接続する場合の「及び」と「並びに」の使い分けでは、一番小さな接続詞に使うのが「及び」で、大きな接続詞に使うのが「並びに」である。

たとえば、「A及びB並びにC」という文言については、まず大きな区分けが「(A及びB)並びに(C)」となり、小さな区分けが「(A)及び(B)」となる。

2つの場合 スーパーでミカン及びリンゴを買う。
階層がない3つ以上の場合 スーパーでミカン、リンゴ及びバナナを買う。
階層がある3つ以上の場合 スーパーでミカン及びリンゴ並びにレタスを買う。
(果物と野菜の階層)
複数の階層がある3つ以上の場合 スーパーでミカン及びリンゴ並びにレタス並びにノートを買う。
(「食品(果物と野菜)と食品以外」の階層)

「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。 2.妥当である。

階層にある複数の単語を選択的に接続する場合の「又は」と「若しくは」の使い分けでは、一番大きな接続詞を使うのが「又は」で、小さな接続詞に使うが「若しくは」となる。

たとえば、「A若しくはB又はC」という文言については、まず大きな区分けが「(A若しくはB)又は(C)」となり、小さな区分けが「(A)若しくは(B)」となる。

2つの場合 旅行でアメリカ又はイタリアに行く。
階層がない3つ以上の場合 旅行でアメリカ、イタリア又はフランスに行く。
階層がある3つ以上の場合 旅行でニューヨーク若しくはワシントン又はフランスへ行く。
(都市と国の階層)
3段以上の階層がある3つ以上の場合 旅行でニューヨーク若しくはワシントン若しくはフランス又はアジアへ行く。
(都市と国と地域の階層)

法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。 3.妥当である。

法令用語における「その他」と「その他の」は、使い分けがされており、「その他」は、前にある言葉が、並列、対等の関係にあることを示す場合に使われる。
たとえば、「聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する」(行政手続法19条1項)の場合、「行政庁が指名する職員」と「政令で定める者」はor(=又は)の関係となる。

一方、「その他の」は、前に出てくる言葉が、後に続く広い意味の言葉の一部をなし、その例であることを示す場合に使われる。
たとえば、「審査請求、再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分」(行政手続法3条1項15号)の場合、審査請求と異議申立ては、不服申立ての例示であり、行政庁の裁決、決定は、処分の例示ということになる。

法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関 する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言 われる。 4.妥当である。

「準用する」は、ある法令の個々の規定を他の類似する事柄に必要な修正を加えあてはめる場合に用いられるもので、同一ないし類似する規定が多くあることによって、その法令が煩雑になることを防止するための立法技術である。
たとえば、「民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、第9条及び第10条第1項の規定を除き、取消訴訟に関する規定を準用する。」(行政事件訴訟法43条1項)というように使われる。

他の事柄ではなく、まさにその事柄のための規定をあてはめる場合は「適用する」となる。

「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。 5.妥当でない。

時間的即時性が最も弱いのは「遅滞なく」である。

「直ちに・速やかに・遅滞なく」はいずれも早急にする意味合いで用いられるが、「直ちに」については、一切の遅延を許さず、即時にやらなければならないという場合に用いられ、その緊急性の度合いとしては、「直ちに→速やかに→遅滞なく」の順で穏やかになっていく。

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