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  4. 問3

平成27年-問3 憲法 その他

Lv2

問題 更新:2023-01-30 18:27:33

外国人の人権に関する次の文章のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反するが、この自由の保障はわが国に在留する外国人にまで及ぶものではない。
  2. わが国に在留する外国人は、憲法上、外国に一時旅行する自由を保障されているものではない。
  3. 政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。
  4. 国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではない。
  5. 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によってこれを決定することができる。
  解答&解説

正解 1

解説

国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反するが、この自由の保障はわが国に在留する外国人にまで及ぶものではない。 1.妥当でない。

国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ(最判平成7年12月15日)。

なお、テロ未然防止等のために入国審査時の個人識別情報の提供が平成19年から義務付けられている(例外あり)。

わが国に在留する外国人は、憲法上、外国に一時旅行する自由を保障されているものではない。 2.妥当である。

憲法22条2項は「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」と規定している。
ここに一時的な外国旅行の自由が含まれることについては争いがないが、外国人に一時的な海外旅行の自由があるか否かについては争いがある。
判例は「我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものでない(最判平成4年11月16日)」としている。

政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。 3.妥当である。

「政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。(最大判昭和53年10月4日)」

つまり、原則的には外国人にも政治活動の自由を認めるが、それは「外国人の考え方」を日本人が知るためであり、日本人に影響を与えるような政治活動は憲法では保障されていないと考えられている。

国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではない。 4.妥当である。

日本国を動かしているのは日本人だという考え方が前提にある。
判例は「外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない(最大判平成17年1月26日)」としている。

なお、公権力を行使しない公務員となることまで禁止されているわけではない。

社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によってこれを決定することができる。 5.妥当である。

憲法25条の規定する生存権を外国人にまで認めるのかという問題である。
外国人にはその所属する国が責任を持つべきであって、日本国が最終責任を負うものではないと考えられている。

判例は「社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によりこれを決定することができる(最判平成元年3月2日)」としている。

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