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平成27年-問2 基礎法学 裁判制度

Lv4

問題 更新:2023-01-30 18:26:16

裁判には、「判決」、「決定」および「命令」の形式上の区別がある。これらの裁判の形式上の区別に関する次の記述のうち、明らかに妥当でないものはどれか。

  1. 「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。
  2. 「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
  3. 「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
  4. 「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。
  5. 「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。
  解答&解説

正解 4

解説

「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。 1.明らかに妥当でないとはいえない。

「判決」とは、訴訟事件の終局的判断(民事訴訟法243条、刑事訴訟法333条等)その他の重要な事項(民事訴訟法245条、刑事訴訟法415条など)について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判。以下同じ。)に基づいて行われる(民事訴訟法87条1項本文、刑事訴訟法43条1項)。

「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。 2.明らかに妥当でないとはいえない。

「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項及び付随的事項等について(民事訴訟法25条1項、民事訴訟法75条1項、民事訴訟法223条1項、刑事訴訟法23条1項等)、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり(肢5解説参照)、口頭弁論を経ることを要しない(民事訴訟法87条1項ただし書き、刑事訴訟法43条2項)。

「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。 3.明らかに妥当でないとはいえない。

「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが(肢5解説参照)、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり(民事訴訟法137条2項、刑事訴訟法280条1項等)、口頭弁論を経ることを要しない(刑事訴訟法43条2項)。

なお、「命令」と「決定」の相違は出題の可能性が高いところであるから、よく理解しておいてほしい。

「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。 4.明らかに妥当でない。

判決に家庭裁判所がする審判が含まれるとする点で明らかに妥当ではない。

「判決」は、公開法廷で行われ、また、対審すなわち口頭弁論は、裁判官の全員一致で公序良俗を害するおそれがあると決した場合を除き、公開法廷で行われる(憲法82条)。
一方、家事事件及び少年事件について家庭裁判所がする審判は、非公開とされている(家事事件手続法33条、少年法22条2項)。
したがって、これらの審判は、「判決」には含まれず、また、口頭弁論に基づいて行われるわけでもない。

なお、公開なのか非公開なのかは憲法でも出題される可能性がある。

「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。 5.明らかに妥当でないとはいえない。

「判決」の告知は、公開法廷における言渡し(憲法82条、民事訴訟法250条)、または宣告の方法(刑事訴訟法342条)により行われるが、「決定」及び「命令」の告知は、民事訴訟の場合には、相当と認められる方法により行うことで足りる(民事訴訟法119条)。

刑事訴訟の場合には、公判廷では宣告、公判廷外では裁判書謄本の送達によるものとされており(刑事訴訟規則34条)、公開法廷における言渡し、または宣告の方法によるものではない。

なお、告知方法の相違については、憲法でも出題される可能性がある。

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