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  1. 過去問
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  3. 平成20年
  4. 問4

平成20年-問4 社会権

レベル3

問題 更新:2019-04-29 15:34:38

次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられている。
  2. 国は、子ども自身の利益のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるために、必要かつ相当な範囲で教育の内容について決定する権能を有する。
  3. 労働基本権に関する憲法上の規定は、国の責務を宣言するもので、個々の国民に直接に具体的権利を付与したものではなく、国の立法措置によってはじめて具体的権利が生じる。
  4. 労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が自己目的ではなく、国民全体の共同利益の見地からの制約を受ける。
  5. 憲法が義務教育を定めるのは、親が本来有している子女を教育する責務をまっとうさせる趣旨によるものであるから、義務教育に要する一切の費用を当然に国が負担しなければならないとは言えない。
  解答&解説

正解 3

解説

1.正しい。

憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄である」(堀木訴訟:最大判昭和57年7月7日)
何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、いちおう、厚生大臣の合目的的な裁量に委されており、その判断は、当不当の問題として政府の政治責任が問われることはあっても、直ちに違法の問題を生ずることはない。」(朝日訴訟:最大判昭和42年5月24日)

2.正しい。

旭川学力テスト事件では、教育権の帰属における考え方として、国家教育権説(国家のみにある)と国民教育権説(教師や親など国民にのみある)を前提とした主張がなされた。
この点について判例は、「2つの見解はいずれも極端かつ一方的であり、そのいずれをも全面的に採用することはできないと考える。・・・中略・・・親は、子どもに対する自然的関係により、子どもの将来に対して最も深い関心をもち、かつ、配慮をすべき立場にある者として、子どもの教育に対する一定の支配権、すなわち子女の教育の自由を有すると認められるが、このような親の教育の自由は、主として家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれるものと考えられるし、また、私学教育における自由や前述した教師の教授の自由も、それぞれ限られた一定の範囲においてこれを肯定するのが相当であるけれども、それ以外の領域においては、一般に社会公共的な問題について国民全体の意思を組織的に決定、実現すべき立場にある国は、国政の一部として広く適切な教育政策を樹立、実施すべく、また、しうる者として、憲法上は、あるいは子ども自身の利益の擁護のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有するものと解さざるをえず、これを否定すべき理由ないし根拠は、どこにもみいだせない」(旭川学力テスト事件:最大判昭和51年5月21日)として、どちらか一方にあるのではなく国と国民の両者にあるとする「折衷説」を採用した。
したがって、国は、必要かつ相当な範囲で教育の内容について決定する権能を有する。

3.誤り。

憲法25条の生存権は国の政策的目標ないし政治的道徳的義務を定めたもので個々の国民の具体的・現実的な権利を付与したものではないとされ、いわゆるプログラム規定説といわれる(食料管理法違反事件:最大判昭和23年9月29日、朝日訴訟:最大判昭和42年5月24日、堀木訴訟:最大判昭和57年7月7日など)。
もっとも、判例は裁量権の著しい逸脱など、一定の場合に25条の裁判規範性を認めていることから、裁判所のとっている立場は純然たるプログラム規定説ではないともいわれている。
一方、労働基本権(勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利)について、具体的権利性(法規範性)がないとする判例は存在せず、判例はむしろ具体的権利性を肯定する立場である。 この点、労働基本権のうち、団体行動の一つである争議をする権利について、全逓東京中郵事件(最大判昭和41年10月26日)では、労働組合法で正当な争議行為を民事免責しているのは、当然のことを明示的にしたものにすぎず、刑事免責したのはその当然のことを注意的に規定したものとしており、換言すれば、労働組合法の免責規定は、確認したものにすぎないから、仮に、これらの規定がなかったとしても、憲法を直接の根拠として、権利の主張をすることも可能(=具体的権利性がある)ということである。
また、学説上は、労働基本権の保証は、刑事・民事免責にとどまらず、使用者に対する関係で労働者の権利が侵害されることのないよう国に積極的な保護措置を要求する権利も付与されていると解している。
したがって、労働基本権に関する憲法上の規定は、プログラム規定であるとの趣旨を述べる本肢は誤りである。

4.正しい。

「憲法28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶものと解すべきである。ただ、この労働基本権は、右のように、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が目的とされる絶対的なものではないから、おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れないものであり、このことは、憲法13条の規定の趣旨に徴しても疑いのないところである」(全農林警職法事件:最大判昭和48年4月25日)

5.正しい。

義務教育は、親が本来有している子女を教育する責務をまっとうさせる趣旨によるものである。
また、憲法26条2項にいう「義務教育は、これを無償とする。」について、判例は「教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である。・・・中略・・・教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない。」(教科書国家負担請求事件:最大判昭39年2月26日)としている。
なお、現在は「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」等によって、義務教育用教科書は無償となっている。

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