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  4. 問40

平成24年-問40 会社法Ⅱ

レベル3

問題 更新:2015-10-25 01:57:00

吸収合併に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。

  1. 吸収合併は、株式会社と持分会社との間で行うこともできるが、株式会社を消滅会社とする場合には、社員の責任の加重など複雑な法律問題が生じるため、株式会社が存続会社とならなければならない。
  2. 吸収合併存続会社は、消滅会社の株主に対して、消滅会社の株式に代えて存続会社の株式を交付し、消滅会社のすべての株主を存続会社の株主としなければならない。
  3. 吸収合併存続会社の株主総会において、消滅会社の債務の一部を承継しない旨の合併承認決議が成立しても、債務を承継しない旨の条項は無効であって、すべての債務が存続会社に承継される。
  4. 吸収合併存続会社の株主で当該吸収合併に反対した株主が株式買取請求権を行使し、当該会社が分配可能額を超えて自己株式を取得した場合には、当該会社の業務執行者は、取得対価につき支払義務を負う。
  5. 財務状態の健全な会社を存続会社として吸収合併を行う場合には、消滅会社の債権者の利益を害するおそれがないことから、消滅会社の債権者は、消滅会社に対し、当該合併について異議を述べることはできない。
  解答&解説

正解 3

解説

1.誤り。

株式会社は、株式会社と合併できるだけでなく、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社のいかんを問わない)と合併することもできる(会社法第748条、749条1項2号3号、751条1項2号~6号、2項、753条1項6号~9号)。
また、会社法制定前は、このような形態の合併について、社員の責任の加重など複雑な法律問題が生じることを理由に、存続会社又は新設会社は株式会社でなければならないと制限がされていたが、当該制限は会社法制定時に規制緩和の趣旨で撤廃された(会社法第751条1項、755条1項参照)。
したがって、現行法では、持分会社を存続会社とすることもできる。
なお、特例有限会社を存続会社とする吸収合併は、禁止されている(会社法整備法第37条)。

2.誤り。

吸収合併によって消滅する会社の株主に対しては、消滅会社の株式に代えて存続会社の株式(又は持分)を交付することもできるが、存続会社の株式以外の財産権(例えば、社債・新株予約権・現金・親会社株式等)を与えることもできる(会社法第749条1項、751条1項)。
そして、後者の選択をした場合、必ずしも消滅会社の株主は、存続会社の株主には承継されない。
したがって、「消滅会社のすべての株主を存続会社の株主としなければならない」とする記述は誤っている。
なお、新設合併の場合、基本的に、消滅会社の株主には、消滅会社の株式に代えて新設会社の株式(又は持分)が交付される(会社法第753条1項6号7号、755条1項4号)。

3.正しい。

吸収合併存続会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する(会社法第750条1項、752条1項)。
また、当該規定につき、判例(大判大正6年9月26日)は、合併後存続する会社が消滅した会社の義務を承継するのは消滅した会社の債権者を保護するためであるから、一般に義務を承継しない旨の決議をしても無効であるとしている。
したがって、消滅会社の債務の一部を承継しない旨の合併承認決議が成立しても、その条項は無効であって、全ての債務が存続会社に承継される。

4.誤り。

反対株主には、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる権利(株式買取請求権)が認められているが、この権利は、次の2つに分類することができる。

①会社法第116条1項に基づくもの 単元株式数についての定款の変更など
②会社の組織再編行為に基づくもの 合併、事業譲渡など

①については、分配可能額を超えて自己株式を取得した場合、当該株式の取得に関する職務を行った業務執行者は、注意を怠らなかったことを証明しない限り、株式会社に対し、連帯して、その超過額を支払う義務を負う(会社法第464条1項、会社計算187条9号)。
しかし、②については、会社が当該行為を行う必要性が高いことと、反対株主の保護を両立させるためのやむを得ない措置であることを理由に、①における規制はされていない。
したがって、合併における反対株主の株主買取請求権(会社法第785条、797条、806条)によって、分配可能額を超えて自己株式を取得しても、当該会社の業務執行者は、取得対価につき支払義務を負わない。

自己株式の制限について
自己株式の取得については、以前は経営者の不当な支配の懸念や相場操縦などの弊害の観点から原則として禁止とされており、株式を消却する場合などにおいて、例外的に認められるものであったが、平成13年の商法改正により、自己株式取得は原則禁止から原則自由へと方向転換がなされ、取得した場合に早期処分する必要がなくなった。もっとも、前述の弊害防止のため、議決権は有さず、剰余金の配当を受けることも認められていない他、取得価額は分配可能額の範囲でなければならないなどの各種の規制がされている。

5.誤り。

吸収合併をする場合において吸収合併消滅株式会社の債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる(会社法第789条)。
財務状態の健全な会社を存続会社として吸収合併を行う場合であっても、合併契約による資本金・準備金の額に関する事項の定め次第では、資本金・準備金の額が減少する効果が生じ、債権者の利益を害するおそれがあることから、例外的には扱われていない。
したがって、本肢の場合も異議を述べることができる。

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